12.げんなり ページ12
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喋ることもままならず泣き続けるA。
Aが持っていた傘は店の前で投げ捨てられ
銀時は自分の傘にAが入り切るように傘を傾けた。
「A、風邪ひいちまうから、とりあえず帰んぞ」
「やだぁ!」
それだけははっきりと答えるAに銀時も苦笑いを浮かべる。
と言っても、さすがに親友とも呼べる戦友の女を家に泊めるわけにもいかない。
下心なしに泊められるかと言われれば銀時も大きくは頷けないのだ。
「大丈夫だから。早めに集会終わって、一緒に飯食えないのに帰るのが申し訳ねぇだけかも知んねぇだろ?」
「い、いつも、は、帰って、くる、のっ」
ひぐひぐと嗚咽を上げながら必死にそう答えるAに銀時はポリポリと後頭部をかいた。
そう言われてしまえばもう何も言えないし
人違いだったとはさすがの銀時にも言えなかった。
仕方ない、引っ張れば、さすがのAも成人男性の力には勝てずに何とか家に連れて帰れるだろうがAが雨に濡れる。
それを考え、銀時はよっこいしょとAを持ち上げた。
バタバタと暴れるが、Aの抵抗など銀時には可愛いもので
軽いそれを風邪をひかないように雨に濡らさないようにといそいで家へ運んだ。
なんで帰ってきたのと怒りながら泣きわめくAはとりあえず置いておいて
銀時はAがいつも鍵を隠すAの帯の下から紐の着いた鍵を抜く。
カチャリと鍵を開け、せっせとAを運び込む。
こんなもん彼氏の仕事だろうが・・・と内心桂に怒りを覚えるのは
Aが泣いている原因が桂だからであろう。
戦友たちは戦友たち同士ムカつくこともあったし喧嘩することもあったわけで怒りを覚えることは何度もあったもののAが絡むとどうも抑えられないところがある。
脱衣所まで泣き続けるAを運び
待ってるから早く入れと一言出来るだけ優しく伝え扉を閉めた。
タオルを1枚脱衣所から頂戴して
濡れた着流しはハンガーを拝借して畳の上にどかりと座る。
何度が来たこの場所の使い勝手は銀時もよく知っている。
暫くAの鳴き声が聞こえたが、シャワーの音に混ざって行ったので無事に風呂に入れたようで銀時は安心した。
それから、これから始まるげんなりするような喧嘩について銀時は頭を悩ませた。
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RIO - 続きが読みたいです!!! (2022年3月14日 2時) (レス) @page21 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年9月1日 0時