5.他人 ページ5
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「ちょ、だ、大丈夫ですか？！」
お人好しで優しい近藤さんが、驚いて声を上げる。
あれは、本気でぶったろ。
「大丈夫です」
「すみませんね、驚かせてしまって…。
どうもこの子はいうことが聞けないようで」
こちらをちらりと振り返ったその人の頬は赤く、きっとすぐに腫れてくる。
それなのに、まだ笑ってる。
親に関しては、あぁ、それで、護衛の詳細なんですがね、と話を進めようとする。
どんな家族だ。
だが、誰も何も口出しをしないのは、
このお偉いさんたちは俺たちが逆らえるような相手じゃないことを分かてるから。
何より、A、あの人物が、ちらりとこちらに合図する、
きっとあれは、何も言わないで、だ。
アイコンタクトは言葉だ。
今までの戦場で、何度も仲間とかわしてきた。
あの女は、ニコニコとしながら…。
護衛内容は簡単。
この女を、将軍の家まで護衛し、用が終わればここに戻るまで護衛してほしい。
それだけ。
「よろしくお願いしますね」
まだ笑ってる。
機械に頬を冷やされながら、にこにこと。
辛くても笑ってる姿が、またミツバに被った。
…目の前で笑ってるこの人は、はてして辛いのか？
それすらも分からない。
「そ、れじゃあ、行きましょうか！」
二カッと笑う近藤さんに、はい！と笑うその女。
わからねぇ、が、知ったこっちゃねぇ。
こちとら仕事だ。
私情で動くな。
どうせ、仕事での関係だ。
何より、この年になるまできっとこう育てられてきたんだろう。
今更誰かに出しゃばられたって、面倒なだけだろう。
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作者名：あい | 作成日時：2021年1月19日 22時
