28、私情 ページ29
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それからしばらくした時だ。
慌ただしく廊下を走る音を聞き、注意しようと戸を開けたのは。
俺のその行動とともに俺の部屋に入ってきたのは
頭から血を流した山崎だった。
すぐに状況を理解することは出来なかった。
理解した時、背中の毛穴が一気に開いた。
ヒヤッとしたものが背中に流れる。
相手が怪我してることなんざ忘れて山崎の両肩を掴んだ。
「おい・・・!あいつは・・・!誰にやられた!」
「Aさんが連れてかれて、でも、連れて逃げられなくて・・・。
この間副長達が襲われたって言ってた人達に類似してました・・・!」
油断した。
誰にもバレてねぇと思ってたが。
近藤さんがあいつを見つけるまでの時間、誰かに見られていた可能性は十分にあった。
くそっ・・・。
なんで2人で行かせた。
他にも、連れて行かせれば。
「どこ向かったかわかるか」
「はっきりは分かりませんけど・・・」
そう言って自分たちが襲われた場所からどの方角あたりか
どこら辺が有り得るかを聞く。
隊をすぐに集めて詮索と戦闘、待機を任せる。
「俺と近藤さんに続け。
連れ去られたのはこの国のボンボンだ、傷つけるな」
もし、髪に傷でもついていたら
あいつはほんとに、帰る場所がなくなっちまう。
「なんでィ、相当焦ってますねィ。
・・・ボンボンだからですかィ?それとも、鬼の副長が私情ですかィ?」
「・・・どっちもだよ」
俺の言葉に、総悟が少し驚いたのが見えた。
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作者名:あい | 作成日時:2021年1月19日 22時