22.花 ページ23
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「てことで、しばらくここで預かる」
冷やすもん持ってきた総悟と近藤さんにそう告げると
2人とも、悩ましい表情。
そりゃそうだ。
俺が言っただろ、男所帯に女連れ込むな、って。
「トシがいいなら、俺ァいい。
ここの決まり事はお前に任せてんだ。
そのお前がいいってんだからいい」
「むさ苦しい中に花が咲くってんでィ」
「まぁ、上のやつらにしか知らせねぇがな」
なんせ男しかいない。
万一ここの誰より強い女がいたとしたら別だが
こんな大事に育てられた女がいたら
誰が気を狂わせるか分からねぇ。
「でも、どこで住まわせるんでィ。
空いてる部屋といえばそのむさ苦しい男どもの間くらいですぜィ」
たしかに、一斉に部屋を移動させるのも変か。
だからといってどうなるか分かったもんじゃねぇ。
「・・・俺の部屋、でいいか」
「え、あ、はい、いや、あの、やっぱり、迷惑ですよね」
あはは、どうしよう、と言うその人に対して
近藤さんが口を開いた。
「男に二言はありません。
トシは無闇矢鱈に手を出したりもしませんし。
人を助けるのが俺たちの仕事です。
何も考えないで、頼ってください」
「いい頃合になったらお暇します。
その間だけ、よろしくお願いします」
近藤さんの言葉に意を決したのか
畳に手をついて頭を下げる。
「俺の部屋じゃヤニ臭いだろうが、我慢してくれ」
とりあえず、色々持ってくるな、と
総悟を引連れて部屋を出ていく近藤さん。
また2人きりという妙に気まずい中、先に口を開いたのはA
「迷惑なのは分かってます。
しばらく、よろしくお願いします」
「・・・あぁ」
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作者名:あい | 作成日時:2021年1月19日 22時