18.場に合わない ページ19
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もう帰るんですか?と寂しそうにした姫様の頭を撫でて
チャイナに手を振って、
行きとは違い、素直に俺に着いてくるA。
もしかしたら、姫様だけが、支えだったのかもしれねぇ。
そんな姫様にも、大切な友達がいるところを見て、どこかショックを受けた、とか。
勝手にそんなこと考えてる俺の心配してる感情とは裏腹に
最初の頃同様の笑顔でにこにこしてるA。
よく、わかんねぇな。
そんな感じで、帰りは特に話すことも無く
近藤さんや、どこにあったのか知らねぇが風船ガムを膨らませてる総悟の所に戻った。
「おう!おかえり!」
いつもみたいに、人懐こい笑顔で手を振る近藤さんに向かって右手を挙げて
Aをすぐに簾の中に入れた。
「なんでィ、なんか急いでるんですかィ」
「いや、さっさと帰ろう。お前のためた始末書が山のようにあること思い出して焦ってんだ」
へいへい、ともちろん悪びれる様子もない総悟を人睨み。
行きと同じ道を同じ奴らで歩く。
ただひとつ違うのは、
向けられている複数の視線、殺気。
次は、本物みたいだな。
「おい総悟、お前、始末書手伝えよ」
「嫌でさァ、おらァ今日見なきゃなんねぇ再放送が」
「生憎だな、俺もだ、手伝え」
どうせいつもの攘夷志士達だろう、と腰に手を回した。
「A、絶対出てくんなよ、どんだけ騒がしくても、気になっても
外に目を向けるな。一生あの屋敷の外出られなくなるぞ」
血の海になるであろう想定をしてそう言えば
ふふ、と、場に合わない笑い声、分かりました、という澄んだ声。
この女、ほんとに分からねぇ。
Aを運んでいた2人も庇うように真選組が動く。
「なんでィ、呼び捨てなんざして」
「・・・呼びやすいんだよ」
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作者名:あい | 作成日時:2021年1月19日 22時