1.日常 ページ1
・土方十四郎・
「お偉いさんの護衛の仕事が来ている」
近藤さんからそれを聞いたのはつい一週間前だ。
お偉いさんの護衛なんざ特に珍しい仕事でもねぇ。
将軍連れてキャバクラ行く方がよっぽど大変でおかしな仕事だ。
いつものようにタバコをふかしながらその護衛という仕事だけのために、隊服に身を包んだ。
着なれた隊服。
吸いなれたたばこ。
いつでも常備しているマヨネーズを懐へ。
部屋にある姿見で服装に変なところがないか確認している時に真後ろから聞こえた爆発音。声。
どちらとも聞きなれたもんで、眉間にしわが寄ったことが自分でもわかった。
「あれ、座ってなかったか。勘が鈍っちまった」
「おい総悟、勘が鈍ったじゃねぇよ!」
「なんですかぃ、そんなにじっくり姿見なんざ見つめちまって、頭でもおかしくなりやしたかぃ」
当たり前のように俺にバズーカを向けたそいつがジトリと俺を見る。
あほか、服装チェックだ、と一言言ってまた姿見に目を向ければ「あぁなるほど」と声を出す総悟。
今度はなんだ。
はぁ、と小さくため息をつけば、総悟が口を開いた。
「今日の護衛の仕事、とてつもない別嬪を護衛するって言ってやしたねぃ。
もしかして、狙ってんのか土方コノヤロー、身分の違いってもんを考えろよ」
「誰も何も言ってねぇだろうが勝手に話を進めるな」
「まぁとりあえず、そんな別嬪と会う前に死ね」
言い切る前にこれは来ると予想しその場を離れる、と
さっきまで俺がいた場所や、俺が見てた鏡がお釈迦だ。
「な、にしてるんだてめぇは!朝くらいジッとしてられねぇのか!」
もちろん、仕事には即戦力が必要なわけで、
こいつが珍しく早起きしてる理由は、今日の護衛の仕事のメンバーだからだ。
・
227人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あい | 作成日時:2021年1月19日 22時