［歌い手］推しは兄でした。

17 決心 ページ18

「行ってらっしゃい」
お兄ちゃんを送り出した私は、一人赤面していた。なにしろ、さっきはあんなに嫌がっていたコラボを、今度はしたいと言ったのだから。
「待ってるよ、なんなら二人で」お兄ちゃんが言ったその言葉は、私の心理を妙に捉えていて恥ずかしい。
(気付いたよね、ライブのお兄ちゃん見て隣に立ちたいって思った事)
(何なら二人で、か。私達も二人で立つことができるかな？こんな舞台にいつか)

モニターを見ると、そらるさんとまふまふさんが絡んでいた。
薬が効いたようで、症状は微熱にまで下がったようだった。

「今ですね、すっごく嬉しい事があったんですよ！！詳しい事は口止めされているので言えないんですけどね、コラボが決まったんです！！僕が密かに願い続けてた、ある人とのコラボなんです！！」

まふまふさんがハイテンションで言う。

「実際動画が上がるのは半年後ですけどね」

「半年後をお楽しみに！」

私のこと？しかないか。
あーあ、もう逃げらんないや。
逃げるつもりも無いけど。
明日から、いや、今日から半年で人気になる。
まふまふさんと並んでも釣り合いが取れる様に実力で。
とりあえず、帰ったらキャスをしよう。
タイトルは「卒業キャス」
みんなびっくりするかな？
底辺歌い手を「卒業」しても、付いて来てくれるかな？
ちょっと、不安だけど。
何となく楽しそうな気がした。自然と笑みが溢れるのは、気のせいだろうか？

18 ライブ、そらるside→←16 素直に、笑顔で。

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