3話 ページ9
銀が可愛がっていた弟君が温もりを求めて必死に手を伸ばす
微かに残る銀の温もりを追い求めているように見えた
「勇者様」
大赦の仮面を着けた女性が呼び掛けに来て、私達は再び会場へ向かった
−−
−−−
「えー御役目とは言え、子供達の尊い命が失われる事は、御親族御友人とって耐え難き悲しみです。御遺族の御心痛いた程ばかりか案じております。三ノ輪銀様の_」
気だるそうな声色で代表者が淡々と挨拶をする
確かこの人…
銀の御両親に「三ノ輪家の者は莫大な援助を得られるから、銀も奉公が出来て誇らしいだろう」と、良く分からない事をペラペラと仰っていた男性だ
代表者挨拶が終わると、次は"
大赦の人の号令を聞き、正装姿でゆっくり立ち上がると、号令をした大赦の人とは別の人から1輪の桃色の牡丹を受け取る
そして後方に園子が着いてくる形で銀の眠っている棺の前まで移動し、わっしーと合流する
園子「ミノさん…」
双葉『……銀、ごめん、ね…っ…』
分かってはいたけど、現実味が湧かなかった
目を背け続けていた
それらを全て受け止めた時には、もう涙を堪える事は出来なかった
−−
須美side
銀の上に花を置こうとするが、花を持った手がプルプルと震えてしまう
唇を噛み、熱くなった目尻を堪えていると包み込むように手が差し伸べられた
その手の元を探ると、やはり安芸先生だった
先生はゆっくりと静かに頷いた
−−
−−−
銀の胸の上に交わるように3輪の花を置いた直後、叫び声が会場に響き渡った
それに反応するように一斉に声の主の方に目を向ける
「神様なんだったらなんで守ってくれなかったんだよ!」
声の主は銀の事を慕っていた長男の鉄男君だった
「姉ちゃんはずっと頑張ってただろ。それなのに何で、姉ちゃん何だよ!
姉ちゃんを…連れてかないでくれよ!!
こんなの神様なんかじゃないだろ…!姉ちゃん…」
鉄男君は涙を流しながらそう訴え続けていた
周りに居た大人達は鉄男君を制そうとしていたが、最期まで銀の事を思ってくれている事が伝わり、また涙が溢れて来る
ほら、聞こえる?
こんなに慕って貰えて、こんなに心配して貰えて、銀はとっても幸せ者だよ…
鉄男君は数名の大人達に連れられ、会場の外に追い出されてしまった
騒がしくなる会場の壇上で、わっしーは悔しそうに俯き拳を握っていた
突如、辺りが静寂に包まれ不思議に思い壇上から見渡す
双葉『嘘、でしょ…?』
ラッキーカラー
あずきいろ
今日の勇者キャラは?
乃木 園子(小)
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しーちゃん | 作成日時:2020年6月11日 20時