Another Memories…2 ページ38
「それじゃあ、御大事にね」
双葉『はい、ありがとうございました』
定期的に行われている短い診察を終え、医師に軽く頭を下げて診察室を後にする
病室のある反対方向へと向かい、売店を目指して足を進めていると前方から聞き覚えのある声がした
飛鳥「ふったの〜ん!」
そう言って抱き締められ、無駄に大きい胸を押し付けられる
双葉『く、苦しい…』
そう訴えると「あ、ごめん!」と急いで抱いていた手を少し緩めるのを感じ、飛鳥を押し退けて距離を取って早歩きで足を進めた
飛鳥「ごめんってふたのん〜」
そう言いながら小走りに駆けて隣に並ぶ飛鳥の「どこ行くの?」と言う問い掛けに対し簡潔に答え、歩みを進める
−−
−−−
道中、飛鳥と他愛のない雑談を交わしながら目的地である売店へと辿り着くと多くの人で賑わっていた
飛鳥「うわー、すっごい混んでるね〜」
双葉『見れば分かるから…』
取り敢えず目的の菓子パンを買う為、自動販売機へと足を向けようとした
その時、視界の隅で見覚えのある後ろ姿を見付け、喉まで出かかった名前を必死に飲み込む
飛鳥「ふたのん…?」
−−
飛鳥side
険しい表情になっているふたのんの目線を辿ると、そこには車椅子に乗った黒髪の女の子が自販機のボタンを押そうと手を伸ばしていた
あの子、夏祭りの時ふたのんと園ちゃんと一緒に居た…
確か名前は…、わっしーちゃんだっけ?
やっとの思いで名前に辿り着いたのと同じ頃、隣に居たふたのんが俯いたままわっしーちゃんのいる自販機まで歩みを進める
私も出遅れるように歩き出し、少し離れた所から2人を見守る
双葉『どれが欲しいの?』
そう問うと不思議そうにふたのんの方を見た後、「あれですけど…」と遠慮がちに自販機の1番上の段にあるお茶の入ったペットボトルを指差した
ふたのんがわっしーちゃんの代わりにボタンをピッと押すと、ガランと音を立てて排出口からお茶が出て来る
そのペットボトルを排出口から拾い上げ「これで合ってる?」と確認すると、コクりと頷いてからお茶を受け取った
「ありがとうございます。助かりました」
双葉『別に、当然の事をしたまでです』
知り合い…だよね?
ちょっと他人行儀過ぎない?
「では、これで失礼します」
私の疑問が解決する事なく去って行くわっしーちゃんの後ろ姿を見送り、「ねぇ、ふたのん」と話を切り出しながら顔を向けると、パンを買おうと自販機にお金を入れる儚げな表情をしたふたのんの姿が映った
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あずきいろ
今日の勇者キャラは?
乃木 園子(小)
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作者名:しーちゃん | 作成日時:2020年6月11日 20時