乃木双葉は勇者であるｰｰ鷲尾須美の章･弐ｰｰ (ページ27)

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8話ページ27

須美side

須美「御父様も御母様も学校の友達も、皆応援してくれている。お役目がある私達は幸せだ…」

園子「横断幕貰っちゃったね～」

そのっちに微笑み返す

この気配…！

気配を感じ小さく声を上げ、来た道を振り返る

そのっちとふたっちも同じ方向を見据えて、察したのか否か眉を潜めていた

双葉『…来るの？』

不安そうな声色でそう聞かれたが、包み隠さず簡潔に｢うん、来る｣と答えた

ザーッと黄色く色付いた枯れ葉が宙を舞う

園子「分かるようになってきちゃったね」

眉を潜めてそう言うそのっちの声を聞き、目を閉じて銀の告別式の夜見たあの夢(･･･)を思い出していた

あれは明らかに只の夢(･･･)ではなかった

＿今度のは、きっと大変な戦いになる

＿神樹様も、それを伝えようとしていた

私はそう思う

ｳﾞｰｳﾞｰ

樹海化の警鐘と共に我に返り、制服のポケットから携帯を取り出す

画面は一面赤に包まれ"樹海化警告"と書かれた文字が大きく映っていた

舞っていた枯れ葉がピタリと地面に落ちる前に止まり、携帯から目を離して横に居る2人に声を掛けた

須美「気を引き締めて」

－－

園子「うん！集中集中～」

わっしーの言葉に頷き、新しい勇者システムが導入された携帯を顔の横に持って行く

ﾘﾘﾝ…ﾘﾝﾘﾝ……！

園子「…あ、そうだ！」

例の風鈴の音がするのと同時に、何やら思い付いたように声を上げた

不思議に思い、わっしーと顔を見合わせ小首を傾げる

双葉『どうしたの…？』

シュルシュルと何かをほどく音を立てて、不思議がる私達に向けて差し出した

園子「これ、わっしー持ってて」

差し出したのは、普段園子が身に付けている青い布地に白く細い線の入ったリボン

一瞬、戸惑いを見せたわっしーだったが｢ええ｣と肯定し園子のリボンへと手を伸ばす

手に取ったリボンを失くさないようにギュッと握り締めていた

園子「髪に付けてくれても良いんだよ～？」

そんなわっしーを茶化すような口振りでわっしーの顔を低い姿勢から見上げるような体制に移動しながら言う園子に、少し便乗する事にした

双葉『わっしーなら絶対似合うよ！』

実際、わっしーがリボンを付けた姿を見てみたいと思っているのは私だけではない筈だ

わっしーは何着ても似合うから、リボンを付けた姿も様になるのだろう

須美「戦いが終わったら付けてみるわ。似合ってたら褒めてね、2人共」

わっしーの言葉に微笑み｢うん！｣と返事をした