5章1話 さよなら ページ7
翌日
委員会の仕事がある為、早めに園子と共に家を出た
車通学する道中でも、園子も私も全く喋らなかった
何を話したら良いのか分からなかった
昨日の出来事は幻で、いつも通り学校へ向かっていたら「おーい」と手を振って、元気に挨拶を交わしてくれるのではないか…
また、太陽のように眩しい笑顔を向けて名前を呼んでくれるのではないか…
と、今でもそう思っている
自分を洗脳し続けている
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姶良side
私達使用人の主である園子様と双葉様を鏡越しで見守るように見ながら信号を待っていると、昨夜の事が思い出される
昨日、帰宅された2人はとても暗い顔をしていた
事情を聞こうと名前を呼ぼうとしたが、姉様に止められた
目で訴え掛けて来る
"事情を話してくれるまで待て" "急かす必要はない"と
確かに姉様の言う通りだ
主人にいつも煽り口調の姉様も、先輩使用人の方々も何も言わなかった
後になって、聞いた話では友人がお役目の最中に亡くなったとか
その気持ちは痛い程分かる
私達姉妹も両親を交通事故で亡くしているから
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車窓から写る空はどす黒く濁った雲に雷の音
まだ、雨は降っていないが天気は荒れ模様だ
それはまるで、私達の心の中を映しているようにも見えた
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学校へ着くと"風紀"と書かれた腕章を身に付け昇降口前に立ち、登校してくる生徒達に挨拶を交わす
30分程時間が経ち、全校生徒の登校が終わった頃、委員会は終了を告げる
教室へ戻る途中、運良く担任の先生兼部活動顧問である栗沢先生と遭遇した
「お、乃木か…お疲れ。どした?」
その口調で、忘れたかった事を思い出してしまう
泣きそうな顔をしているであろう私の顔を見て、心配そうに声を掛ける先生を掠れた声で呼び、先生の胸へ飛び込んだ
何も言わずあやすようにして、優しく背中を擦ってくれる
暫くして、何とか落ち着きを取り戻す事が出来た
「…保健室行くか?」
その言葉に首を振り、御礼と用件を話すと優しく微笑み掛けて「分かった…」と答えてくれた
用件とは明日の事だ
続けるように先生は「落ち着いたら部活にも顔出せよ」と言う
「よし、教室行くぞ」
そう言い、出席簿で頭を叩かれる
小さく悲鳴を上げ、先生の方を見ると既に歩みを進めていた
"しっかりしろ"と言う事だろう
双葉『はい…』
教室の扉の前まで先生と並んで歩く
時間は止まる事を知らずに刻々と進んで行くが、私達3人の時間は止まったままだった
ラッキーカラー
あずきいろ
今日の勇者キャラは?
乃木 園子(小)
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作者名:しーちゃん | 作成日時:2020年6月11日 20時