そんなの私のガラじゃない。 (ページ30)

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心から好きと思えるものページ30

瑞希side

類は中学からの付き合いだから良いとして、Aの顔色を窺いながら何とかボクの事を話終えた

途中から語尾が小さくなったり俯き気味になったりしたけど、Aは終始無言でボクの話に耳を傾けてくれていた

始めて屋上で会った時から何となくボクの事知ってる感じがしたし、どうせ知ってるなら今更言っても変わらないと思って話してみたけど＿

やっぱり自分の口から言うのは、まだ怖いや…

たった数秒程度の沈黙の筈なのにボクにとってはそれが途轍もなく長く感じて、徐々に不安と恐怖が募る

それと同時に変な汗が伝う

瑞希「あはは、流石に引いたよね～…」

少しでも今の空気を変えたくて、自傷的に笑っておどけてみせた

そんなボクを見てた類が、｢大丈夫かい？｣と言いたげに小さくボクの名前を呟く声が聞こえる

それに｢大丈夫｣と答えるように微笑み、再びAに目を向けた

｢ごめんね、いきなり変な事言っちゃって｣と続けようとする前に、今まで無言を貫いていたAが静かに首を横に振って口を開いた

『ううん、ちょっとびっくりしただけ。噂では聞いた事あったけど半信半疑だったから…』

分かってた…最初からこうなるの何て、とっくに分かったじゃないか

これまでも｢この人ならきっと…｣って思って伝えても、誰1人理解してくれる人何て居なかったじゃないか

…ボクは只、ボクはボクのままで居たいだけなのに

そんなボクの心境何て露知らず、Aは更に言葉を続けようとする

何言われるんだろう…怖いなぁ…

『でも私、そういうの少し羨ましいなって思うの』

瑞希「え…？」

予想外すぎるAの言葉に、思わず素っ頓狂な声を漏らしてしまう

それと同時に、ついさっきまであった靄が徐々に晴れていくような気さえする

『"好き"を貫くのって一見簡単そうに見えて実は物凄く難しいんじゃないかって思うんだ。誰かに批判されたりしたら尚更ね』

そう言うAの表情は、何処か懐かしむ様子で何とも言えない表情をしていた

もしかして＿

『でも、それでも瑞希ちゃんは自分の"好き"を曲げずに貫いてる。それって本当に凄い事だと私は思うよ』

そう言い終わり我に帰ったのか、さっきまでと打って変わって｢偉そうにごめんね…！｣と謝るAに思わず吹き出してしまう

そんなボクを見て、不安そうにオロオロしてるAにニッと笑みを向けた

瑞希「…ありがとね、A」

『えっと、どういたしまして…？』

瑞希「あははっ、何で疑問系？」