三輪先輩と後輩ちゃん

京都姉妹校交流会ｰ敵襲ｰ*3 ページ26

【後輩side】

『そういうのは自分から名乗るもんですよ』

反射的に振り返りながらそう言って、腰に収めてある刀に手を当てて戦闘体勢を取る

どうしよう…どうしよう…

そればかりが頭を埋め尽くす中、目の前の人形呪霊は真人と名乗った

真人「で？君の名前は？」

『何でアンタさんにそんな事、教えなきゃなんねぇんです？教える訳ねぇでしょうが』

てか、怪しい奴に名前を教えちゃいけねぇって昔から口酸っぱく言われてたんでね

真人「そっか〜、残念…」

そう言って何か仕掛けようとする真人とかって言う人形呪霊に向けて、先手必勝で刀を振るう

真人「おっと、危ない危ない」

意図も簡単に攻撃を交わす真人に対して思わず舌打ちをし、刃先を向けて捕った物を返すよう促す

だが、それは無理なお願いらしい

｢名前を教えてくれたら返してあげない事もないよ｣とか良く分からん事も言われたが、多分それは嘘だろう

てか、何でそんなにうちの名前を知りたがるんです？

割とガチめにそれが不思議で堪らない

そんなこんな思っていると、真人は口からオエーと何かを吐き出して｢じゃあ俺急いでるから｣とか何とか言って足早に逃げて行った

『ちょ…！』

追い掛けようとする私の足を足止めするように絡み付くのは、真人がさっき口から吐き出した呪霊達

そのせいで上手く身動きが取れない

『あーもう、うぜぇですね』

このままじゃ逃げ切られちまうじゃねぇですか

うじゃうじゃとしつこく足にまとわりつく呪霊達を剥ぎ落とし、刀を構える

『シン陰流･簡易領域＿』

タイミングを見計らって刀を抜こうとしたその時、呪霊だと思われていたそれらからはっきりと声が聞こえた

「タス…ケテ…」

思わず聞こえたその声に、刀を抜こうとした手が止まる

それから次から次へと耳を疑うような声がはっきり聞こえ、耳を塞ぎたくなるのを我慢するので精一杯

嘘…こいつら元人間…？

大方、アイツの術式で人間を呪霊に変えたと考えるのが妥当だろう

『本当、悪趣味な奴…』

そう誰にも聞こえない声でボソッと呟き、元人間と分かった上で再び刀を構えて静かに技を放つ

『シン陰流･簡易領域＿千里一閃』

これは私の術式である千里眼とシン陰流を掛け合わせた技で、見える範囲に居る呪力の持つ物全てを目にも止まらぬ速さで木っ端微塵に切り刻む私のオリジナルの技

技を受けた元人間達が塵となって消えて行く前、心なしか穏やかな声で｢アリガト｣と言う声が耳にこべりついて離れてくれない

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