Call me------ (ページ37)

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Hokuto-9 ページ37

【Hokuto Side】

[ごめん松村くん、お待たせしました]
｢いえいえ｣
[じゃあ、行こっか]
｢はい｣

今日で寿退社の先輩は、同僚や上司、後輩からの祝福なのか別れなのか分からないけど、なんやかんやの言葉に一通り応えた後、俺に声をかけてくれた。
昨日、あの後、“明日はいつもより綺麗でお洒落なお店で飲もうか”なんて話もしたけど、結局いつもの居酒屋チェーンで飲むことにした。このなんでもない居酒屋チェーンが俺たちにとっての“特別”だったような気がしたからだ。
いつものビール、いつもの枝豆、いつも通りの小さな乾杯。

いつもと違う、先輩と俺。

何を話したらいいのか、どう声をかけるのが正解なのか分からなかった。
この無言の時間が嫌だ。先輩と居られる時間はあと何時間もない。
明日は、ないのだから。
それでも、俺も、先輩も、何も言わない。何も言えない。

｢あの、先輩｣
[松村くんは]

同時に声をかけてしまった。

｢あ、先輩先に...｣
[えー、松村くん先話してよ]
｢僕忘れちゃいましたよ｣
[えー... なんか、変な感じだなぁって。黙ってビール飲み進めてて。]
｢...すみません｣
[いや、謝る必要は全くないけど(笑)]
｢すみません｣
[また謝ってるし(笑)]