Hokuto-7 ページ35
【Your Side】
時の流れは速い。
近頃は特に、そう感じることが増えた気がする。
3ヶ月ほど前、私たちは入籍した。
そして、そのタイミングで今まで松村くんと突然退社じゃ迷惑かけちゃうから話しておいた上司以外には黙っていた彼の存在と、今年の3月で退社することをまわりの同僚や後輩たちにも伝えた。
それからなんだかんだで時間は流れていって、秋が終わって冬が来て、年まで明けてしまった。
この職場で過ごすのもあと2ヶ月なんだ、そう思うとなんだか急に寂しくなる。
今までそこまで親しく話したことのなかったような同僚からも飲みに誘われて。
私のためのものだって分かっていても、そもそも人と飲みに行くこと自体があまり好きじゃない私にとっては、正直、面倒くさい。
久々に松村くんと飲みたいな、なんて思ってみたりしたけど、生憎残業終わりのお疲れハイじゃない私は、松村くんを誘う勇気なんて持ち合わせていない。
松村くんから誘ってきてくれたりしないかなぁ...。
まぁ、人生意外とミラクルって起こらない。ここでミラクルが起こるような人徳を今まで積んできた記憶もないし。
呑気にそんなことを思っていたら、あっという間に3月はやってきてしまった。
少しずつ、荷物もまとめはじめて。仕方のないことだとは思いつつも、この場所から私がいた痕跡が少しずつなくなっていくのはなんとも形容しがたい寂しさがあった。
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作者名:夕霧に向日葵 | 作成日時:2021年9月25日 15時