拝啓ブライズメイドの君へ【センラ】

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「笹原!!今日午後イチで営業!!!」



お昼休憩も休む暇がなく、パン片手にパソコンとにらめっこしている私に、上司の声が掛かった。



「は!?営業ってなんですか!?」




ブライダル業界の営業とはいかなるものか。




何はともあれ、ここで働いて六年目になるが、初めての経験だ。




「一商社の社長さんのご依頼。娘さんの式の衣装合わせしに来てくれってご所望」




「えぇ、なんですかそれ…」




「うちはそういうのやってませんっての〜。困るわ〜こういうの、ホント」




そう言って、次の仕事に取り掛かるため、上司は次の現場へ足を向けた。




「まさか、ドレス担いで会社乗り込むんですか!?」




「そうしかないよね!!嶋坂、補佐に付けとくから、一緒に連れてきな!!」




「うへぇ〜。この暑さで〜」




温暖化の影響で外はかげろうの立つ猛暑。




この中、スーツってだけで死んじゃいそうなのに、あの何キロもあるドレスを何個も担ぐのは、もう勘弁して欲しい。




これでしかもエレベーターなしなんて言ったら…。




「考えんのやめよ…」




ちらりと時計に目をやると、昼休み終了３０分前。




「今日もまた、昼抜きだ〜!!」



半泣きで、ドレス集めに走った。

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