運命共同体【センラEND ver.】

61~sideセンラ~ ページ1

あんなに好きだと言って泣いたはずの坂田の手を掴まず、俺の手を離さなかったAの手を引き、駅、ではなくホテルに向かっていた。



やましい気持ちは微塵もなく、単に話を聞くために。ただその為。




何も喋らず前を歩き続ける俺に、Aは黙ってついてくる。



フロントでカードキーを受け取り、部屋にAを入れ、俺は飲みのもを買うために部屋を出る。



が、俺の体はクンっと引っ張られ、反射的に後ろを振り返る。



「どうしたん」



「…ここにおって」



ひどく珍しい事を言う。



俺に対し、ここまで甘えを全開にしてきたのは初めてだ。



正直、これには弱るが、流されてはいけない。



この子は、流れでどうにかしていいような女の子じゃない。



「ちょっと飲み物だけ買ってくるから、待っとって。その間に風呂でも入っとき。な？」



自分を律し、Aの手を自分の服から離させ、その場を後にした。



「これは、かなりヤバイで…」



これは結構くる。



「とりあえず落ち着け、俺…」



戒めるため、近くの自販機ではなく、わざわざ距離のあるコンビにまで足を運んだ。

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