運命共同体【となりの坂田。】２ (ページ49)

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「はい、全員手洗って～!!!」

2人の子供と1人の大人が洗面所へ走りこむ。

「だ～から、あんたは具入れすぎなんだっての!!あふれてるあふれてる」

そう言って男の子の餃子に手をかける。

「餃子は、具少なめにしんと、包めへんで。ほら」

「お父さん、すごい！！綺麗！！」

キラキラした目で父を、見つめる女の子。

「わたし、おっきくなったらお父さんと結婚するの！！」

「そうか、お父さんのこと大好きか～。でも、お母さんと敵になっちゃうぞ～」

内心嬉しいのが隠しきれず、顔が緩みきっている。

「かっこつけてる所悪いけど、お父さんも昔おんなじことしてたからね」

「ちょ、まっ！それは言わない約束じゃん…！！」

わかりやすく慌てる。

「ぼくとおなじことしてたの～？」

「そうだよ。具いっぱい入れて皮破ってたよ。さ、私は焼いてこようかな」

そう言ってフライパンに油を張り、フタを盾にして、構える。

「お母さん、前から思ってたんだけど、いつも何してるの？？」

「昔はお父さんが守ってくれたけど、最近は娘に夢中でお母さんに構ってくれないので、自分で守る術を身につけたまでです」

「代わりましょうか？」

私の言葉を聞いて飛んでやってきた。

「いいえ、どうぞあちらでお浮気ください」

「今もこれからもAだけだから～！！許して～！」

あの後私たちは結婚し、2人の子供を設けた。

今は4人仲良く暮らしています。

我が家の習慣となった1ヶ月に一度の餃子の日。

昔、彼が一生懸命包む練習をしていたのを思い出す。

「将来のために」

あの時はその意味がわからなかったけど、今ならなんだか、わかる気がします。