142話 ページ44
しばらく、黙ったまま二人で窓から見える夜景を眺めた。
「A」
スマイルの静かな声が、動かなかった空気を揺らす。
スマイルに向き直ると、真っ直ぐな紫と視線が交わった。
なんだか真剣な雰囲気に、背筋が少し伸びる。
「…俺、Aに会えて良かった」
「毎日、幸せで…Aがいるから、頑張れるし、今の俺がいる。…大切で、愛おしくて、しょうがない」
ゆっくりゆっくり、紡がれていく言葉。
今までも大切なことを伝えようとしてくれていたときは、こうだった。真剣な目で、ゆっくりと。
だから私も、いつも以上にしっかりきく。
スマイルはわずかに頬を赤らめながらも、私から目を逸らさない。
私も、その紫から目が逸らせない。
「今までも言ってたけど……俺は、ずっとずっと、Aと一緒にいたい。俺は、一生Aを手放したくない」
スマイルは、はっきりと口を開いた。
「A。俺と、結婚してくれませんか」
…プロポーズ。
私は、今、
大好きな人に、プロポーズされたんだ。
涙が出そうになって、でも、嬉しくて、幸せで、笑顔にもなって。
『…っ、もちろん…！』
スマイルの方も少しだけ涙目で、笑った。
彼が立ち上がったので私も席を立つ。必然的に、距離が近づいた。
「…手、出して」
出した左手の薬指に、そっと指輪が通された。キラキラとダイアモンドが輝いている。
「…これからも、よろしく」
『はい』
泣き笑いのまま、抱きしめ合う。
どんどん思いが溢れて、スマイルの胸元に顔を埋めた。
『…ッ、スマイル、ありがとう。私と出逢ってくれて。私を好きになってくれて。私を彼女にしてくれて…お嫁さんにしてくれて』
『私も、スマイルが大好き。ずっと一緒にいたい』
『…幸せを知らなかった私に、いっぱい、いっぱい、幸せを教えてくれた』
『最初笑わなかったスマイルが、私の前で笑ってくれて、みんなの前でも笑うようになって、あのとき初めて、生きる理由を見つけたの』
殺す、殺されるの世界。失敗が許されない世界。
望んでいなかったのに、生きるためにスパイをしていたあの頃。
自分の生きる意味なんて分からなかった私を、あなたが変えてくれた。
『…覚悟してくださいね…っ、二度と、手放しませんから…！』
顔を上げれば、そっと両手で顔が包まれた。
目を閉じると、柔らかい感触。
優しい、優しい、キスだった。
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らーて - 大変遅くなりましたが完結おめでとうございます！自分が完結まで見れたのがすごくうれしいです。番外編と外伝も更新頑張ってください。 (2022年9月18日 17時) (
レス) id: 50b204a28c (このIDを非表示/違反報告)
犬狼(プロフ) - すごい遅くなりましたが完結おめでとうございます！！！なかなかこんな神作に会えることは少なく、完結まで見れたことがすごく嬉しいです！！！ずっとニヤニヤしてました()2週目も楽しんできます！！ (2022年9月16日 11時) (レス) @page47 id: 3dd9b50437 (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 完結おめでとうございます！ニヤニヤしながら見るくらいやっぱ最高でしたね！これから見返していこうと思います！ (2022年9月12日 22時) (レス) @page46 id: 08c0044447 (このIDを非表示/違反報告)
嶺亜 - 完結おめでとうございます‼︎初期から見てて物凄く好きだったので最初から最後まで最高でした‼︎ (2022年9月12日 14時) (レス) id: bfa035e3aa (このIDを非表示/違反報告)
葡萄ゼリー - 完結おめでとうございます!最初のときからすごく好きだったのですが最後まで最高でした...!!番外編も楽しみです!! (2022年9月11日 23時) (レス) @page47 id: c77a19be7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむね☆ | 作成日時：2022年8月17日 11時
