139話 ページ41
スマイルに手を引かれて街に出ると、祭りの出店なんかを回っていた民衆から、わぁっと歓声が上がった。
「スマイル様だ！」「A様も！」
スマイルはともかく、私にも"様"をつけるなんて。なんだか、くすぐったい。
「A様、ゾム様くらい強いんでしょー⁉︎」
目をキラキラ輝かせた小さな女の子に、スマイルと繋いでいない方の手を掴まれた。
「なんか、技、みたい！」
母親が、失礼でしょ、と慌てて女の子の口を塞いでいる。
私はスマイルの手を一旦離して、目線を合わせるために屈んだ。
『ふふ、いいよ。何しようか』
「…んー…」
考える女の子。お母さんはおどおどとしている。
「い、いいんですか？」
『ええ、喜んでもらえるなら』
「あ、さっきねぇ、果物屋さんでりんご買ったのー！今食べたいんだけど、ママが帰ってからじゃないと切れないからだめって。A様、切ってくれない…？」
『分かった』
近くの人に言って、深めのお皿を用意してもらう。私の腕前が見られるなら皿一枚くらいくれてやるよ、と青年が親子に言っていて、心が温かくなった。
その間に、ナイフは消毒した。
『…ん、じゃあ、お皿を持っててくれるかな？』
女の子にお皿を持ってもらい、受け取ったりんごを見せる。
『いーい？見ててね？』
ひょい、と上に投げる。
ナイフをりんごに走らせて、一口大に、空中で切った。
ほとんど崩れないまま落ちてきて、お皿に当たると切った大きさにバラバラと崩れる。
「…！すっごーい！」
女の子の目がさらに輝いた。
喜んでもらえたみたいで、嬉しい。
他にも何か見せてくれと、いろんな人に言われる。
どうしようか、と思ったとき、スマイルにまた手を繋がれた。
スマイルに目を向けると、彼は真っ直ぐみんなを見回して、
「…あの、すいませんけど、…デート中、なので。また今度」
ね…？と耳を赤くしながらも私を見る紫の瞳に、胸が高鳴る。
『はい。…正午には、闘技場での幹部試合に私も出ますから、そこにぜひ見に来てください』
みなさん、引き止めることなくすぐに温かく送り出してくれた。
出店を見ていると、わたがしを見つけた。
足が止まっていたらしく、スマイルに顔を覗き込まれる。
「食べたいの？』
『……はい』
「買おっか」
私が迷いながら告げると、すぐに買ってきてくれた。
初めて食べたわたがしは、甘くてとても美味しかった。
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らーて - 大変遅くなりましたが完結おめでとうございます！自分が完結まで見れたのがすごくうれしいです。番外編と外伝も更新頑張ってください。 (2022年9月18日 17時) (
レス) id: 50b204a28c (このIDを非表示/違反報告)
犬狼(プロフ) - すごい遅くなりましたが完結おめでとうございます！！！なかなかこんな神作に会えることは少なく、完結まで見れたことがすごく嬉しいです！！！ずっとニヤニヤしてました()2週目も楽しんできます！！ (2022年9月16日 11時) (レス) @page47 id: 3dd9b50437 (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 完結おめでとうございます！ニヤニヤしながら見るくらいやっぱ最高でしたね！これから見返していこうと思います！ (2022年9月12日 22時) (レス) @page46 id: 08c0044447 (このIDを非表示/違反報告)
嶺亜 - 完結おめでとうございます‼︎初期から見てて物凄く好きだったので最初から最後まで最高でした‼︎ (2022年9月12日 14時) (レス) id: bfa035e3aa (このIDを非表示/違反報告)
葡萄ゼリー - 完結おめでとうございます!最初のときからすごく好きだったのですが最後まで最高でした...!!番外編も楽しみです!! (2022年9月11日 23時) (レス) @page47 id: c77a19be7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむね☆ | 作成日時：2022年8月17日 11時
