【WT】スパイは紫に笑ってほしい 2【sm】

83話 ページ34

セリフ多いです、頑張って読んでください…！


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壁の一部、そこにできた扉。その奥には、きちんと明かりがついた書斎があった。

散らばった羽ペンやインクの下に、書きかけのノートがある。手に取って、書かれていることに愕然とした。


『…ロボロさん、大先生』

"「うん」" "「はぁい」"

ロボロさんがスマイル様と交代していたみたいで、スマイル様と大先生の返事が聞こえてきた。


『今はそちらで私のインカムを操作していますよね。私のインカムの音声が、幹部全員に聞こえるように、切り替えてください』

"「了解」"

大先生の声と共に、スマイル様の声が響く。


"「幹部全員に告ぐ。今、Aの声が幹部全員に聞こえるように設定を変更した」"


…ゆっくり息を吸い込んで、話し出した。


『…今見つけた情報が重要なことだと思いましたので、皆様に繋げていただきました』

『スマイル様、ロボロさん、大先生。まず、扉の奥、書斎になっていました。この仕掛けについては、後で他の幹部の皆様にお伝えください。書斎には、ノートが、一冊だけ。施設のトップ、オブシディアンの筆跡です。読み上げますね』


『〇月×日、人体実験を開始。薬の種類は、毒薬と、痛みを増幅するもの。徐々に種類を増やす予定』

『〇月△日、体力、運動神経を大幅に上げる薬の開発に成功。さっそく兵たちに服用させたが、効果は抜群だ。これなら、勝機が見えてきた』

『〇月□日、兵も薬も、順調に研究が進んでいる。α国が負けた理由について調べさせていたが、どうやら我々国と日常国が加担したからというだけで負けたわけではないようだ。城内は鉄の守りだったはずなのに、α国が負けた理由は、奴らが城内に入ってから、情報管理部のナビゲーターが変わったこと』

声が震えないよう、気をつける。

『…ワイテル国幹部、スマイル。奴が、四年の間引きこもっていたというのに、突然戻ってきた。きけば彼を外に連れ出したのはA。α国を裏切ったようだ、私と同じように』

『スマイルは、非常に優秀だ。今までの戦争でも、スマイルの指示は的確であり、引きこもる前までの宣戦布告から勝利までの期間は、引きこもった後より短い』


『つまり、スマイルさえいなければ、もっとこちらの勝率は上がるだろう。だが、スマイルを殺すのは現時点では難しい。ワイテル国、我々国、日常国があの後一つになったことから、暗殺はより難しくなっている』


　

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