76話 ページ27
「さて、それでは会議を始める」
「この場では、僕もリーダーとして敬語を外させてもらいますね」
グルッペンさんに続いてなかむ様がすっかり王の顔をして言った。
この人って切り替えが早いなとしょっちゅう思う。さっきまでふざけていたのに、いつの間にか真面目にメイドに指示していた、なんて光景もよく見る。
「日常国はリーダーは俺ですけど、基本みんな権限は同じなので、その点よろしくお願いします」
クロノアさんも言った。
「最近、ここから一日かからない荒野、」
地図を広げたグルッペンさんが、トン、と一箇所を指した。
「この辺りに、謎の施設ができている。この辺りはどの国も統治していないゾ。荒地だからな」
「情報屋のぴくとさんによると、どうも怪しい噂ばかり。各国から若者の誘拐をしてるとか、人体実験をしているとか」
なかむ様は、厳しい顔でみんなを見回す。
「あくまで噂だけど、それが事実なら、いずれ脅威になり得る。なんでも、今まで僕らワイテル国が滅ぼした国、我々国が滅ぼした国、日常国が滅ぼした国の元幹部たち、その残党が作った組織という噂だ」
「つまり、俺たちを倒すため何か企んでいる、というのが一番簡単に考えられる彼らが怪しいことをしている理由」
クロノアさんも腕を組んで、場の空気が重い。
グルッペンさんは、つまり、と声を発した。
「ぴくとさんでさえ噂しか手に入らないのは、相当手強い。そこで、まずは誰かを潜入させたい。誰か、行ける者はいるか」
私は頭の中で一人一人の特徴、長所、短所を整理する。
例えば、ゾムさんは、一見向いている。けど、普通の、バレないように潜り込む"潜入"と違って今回は、相手に自分の存在をバラして潜り込む方の"潜入"。…私が、ワイテル国でしたように。
つまりそれは、スパイの領分。幹部の皆様でやったことがある人がいないのは、誰の手も挙がらないことから一目瞭然。
『私、行きましょうか』
すっと手を挙げると、皆様が目を見開く。
しかしスマイル様は私がそうすることが分かっていたかのようで、驚くことなく止めに入ってきた。
「駄目、危ない」
『私が一番向いています。スマイル様なら、よくお分かりのはずです』
何も言えなくなるスマイル様。
そう、戦場にあんなに的確に指示を出せるのだから、今だって、一番適任な人が分かっている。
適任者が私しかいないことを、とっくに、知っている。
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らーて - 初コメ失礼します。こんな素敵な作品が読めて僕は幸せです！。続き楽しみにしています。更新頑張ってください。 (2022年8月10日 15時) (
レス) id: 50b204a28c (このIDを非表示/違反報告)
涼夏人 - 失礼します。初コメです。この作品、神！神作！続き楽しみにしています。頑張ってください！ (2022年8月8日 16時) (レス) @page31 id: 8404a67f98 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - おかえりなさい！！自分もめっちゃ低くてやばかったです！ゆっくり待ってます！頑張ってください (2022年6月29日 14時) (レス) @page7 id: d3fac2225a (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - おかえりなさい！！僕の方がテストやばかったので安心してください…☆ゆっくりで大丈夫なので！！更新待ってます！、 (2022年6月28日 22時) (レス) @page7 id: 511b9233eb (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - おかえりなさい！お話はゆっくりで良いのですのよ！おかえりなさい(о´∀`о) (2022年6月28日 19時) (レス) @page7 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむね☆ | 作成日時：2022年6月12日 11時
