61話 ページ12
何するのと口を尖らせてぺいんとさんが振り向くと、クロノアさんはグイッとぺいんとさんに顔を近づけた。
ひぇ、端正な顔同士で…絵になっちゃうね。ただ、…クロノアさんの顔がちょっと怖いんですけど…
クロノアさんは目が笑っていない笑顔で、
「最近、誰かさんが頑張りすぎてると思わない…?」
「ひっ、……」
ぺいんとさんはなんとか微笑もうとして、口角をひくつかせた。
少し沈黙し、やがて圧に負けて、
「…お、俺ですかね…?」
「その通り」
クロノアさんが頷くと、隣からトラゾーさんがペシっとぺいんとさんをデコピンした。
「ったぁ!」
「お前の昨日と今日の仕事は、俺らで全部やっといたから」
「…え、?」
きょとん、とした顔になる。しにがみさんはそれを見て吹き出した。
「僕ら、頑張ったんですよ!ぺいんとさん、あの量を最近毎日やってたんですか⁉︎これからはもっと早く言ってくださいね、分け合いましょ!」
「…!うん、そうする!」
笑顔で四人は医務室から出て行った。
ここからは、スマイル様と二人だ。
ベッド脇の椅子に腰掛けたスマイル様にチラリと目をやる。
綺麗な顔立ち。ところどころちょっと跳ねた柔らかそうな髪の毛。
優しい声に性格。感情を映す紫の瞳。
「…ん、どしたの」
じっとスマイル様を見つめていると、優しく聞かれる。
『……その…やっぱり、好きだなって…』
素直に言ってしまってから、自分が何を言ったか気づいて顔に熱が集まる。
でもそれ以上に、スマイル様はぶわっと顔を赤くした。
「…ぁ、あり、がと…」
照れを秘めた紫が揺れた後、私の視線と交わった。
「…俺も、好きだよ」
そこから少し視線を落とせば、唇があって。なんとなく、目を奪われた。
…そろそろキスしたいな、とか…思っちゃうわけで…
スマイル様の手が頭にまわり、そっとお互いの距離が縮まっていく。
そっと、目を閉じて…
「スマイル〜?」
突然聞こえてきた声と共に、反射的にスマイル様と私は離れる。
カーテンの隅の方がパッと開かれて、なかむ様が顔を覗かせた。
「ごめん、今からちょっとだけセキュリティルーム行ってくれる?鬱先生がどうしてもスマイルの手を借りたいって」
「あ、あぁ…分かった」
「なんか顔赤くない?大丈夫?」
「だ、大丈夫だから!」
「?うん…」
不思議そうな顔をするなかむ様と共に、スマイル様は名残惜しそうな表情を一瞬だけして、そして出て行った。
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らーて - 初コメ失礼します。こんな素敵な作品が読めて僕は幸せです!。続き楽しみにしています。更新頑張ってください。 (2022年8月10日 15時) (レス) id: 50b204a28c (このIDを非表示/違反報告)
涼夏人 - 失礼します。初コメです。この作品、神!神作!続き楽しみにしています。頑張ってください! (2022年8月8日 16時) (レス) @page31 id: 8404a67f98 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - おかえりなさい!!自分もめっちゃ低くてやばかったです!ゆっくり待ってます!頑張ってください (2022年6月29日 14時) (レス) @page7 id: d3fac2225a (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - おかえりなさい!!僕の方がテストやばかったので安心してください…☆ゆっくりで大丈夫なので!!更新待ってます!、 (2022年6月28日 22時) (レス) @page7 id: 511b9233eb (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - おかえりなさい!お話はゆっくりで良いのですのよ!おかえりなさい(о´∀`о) (2022年6月28日 19時) (レス) @page7 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむね☆ | 作成日時:2022年6月12日 11時