87話 ページ38
ゾムside
スマイルさんの指示に従って走りまくり、Aさんが遠くに見えた。
…Aさんの腕を、相手の剣が掠めたのが見える。
Aさん、もう、限界なんちゃう…⁉︎
足に目一杯力を込めて、ドンと地面を蹴った。
空気を切って移動し、Aさんを抱き上げて、今さっきと同じ要領で今度は後ろに飛び退く。
相手の剣が空を切った。
安心する間も無く、物凄いスピードで追ってくる。
速すぎるやろ。Aさんでも、逃げきれんわけや。
だらりと垂れたAさんの四肢。おまけに、体が異様に熱い。
これ、限界超えて動きすぎたんちゃう…?
とりあえず報告や、と声を張る。
「やばいで、Aさん、意識飛んどる!」
"「…⁉︎分かりました、しんぺい神さん、ゾムさんが帰ってきたら、すぐAをお願いします」"
スマイルさんの焦った声がする。ペ神の応答する声も、インカムから響いた。
"「分かった、城門のところで医療班を待機させる」"
あ、そや、まだ言っとかなあかんことがあんねん。
また俺は声を張り上げる。そんなことせんくても、優秀なインカムやから声は拾ってくれるんやけど、
「こっちに追加で向かったのは誰や⁉︎」
"「ショッピさん、コネシマさん、ぺいんとさん、クロノアさんです」"
「お前ら四人、気ぃつけぇ!こいつら、ガチで体強化されとる!スピードだけで、俺と互角の速さや!力も多分強なっとる!俺はAさん城に届けるのを優先するさかい、奴らを頼む!」
"「「「「了解!」」」」"
遠くに、こちらに向かってくる四人が見えた。あっという間にお互いの距離は縮まり、すれ違う。
その、一瞬とさえ言えるか分からない短い瞬間に、一番近くですれ違ったシッマと目を合わせる。
「…任せたでッ!」 「…っ、ああ!」
後ろの方で、カキンと刃物がぶつかり合う音。
もう大丈夫やで、Aさん。あいつらが、敵を止めてくれとる。ごめんな、さっきまで無我夢中で走っとったから揺れとったよな。ごめんな。でも、今からはちょっとは揺れへんように気を遣えるから。
心の中で謝りながら、ただ走る。
全力で走っていただけあってすぐに街に入り、余りの速度で駆け抜ける俺を国民たちが心配そうな目で見ている。
何か起きたことは、俺が飛び出ていって、今度は、ぐったりした女性を抱えて爆速で帰ってきたことから分かったんやろな。
城が見えて、ほっと呟く。
「……っし、帰ってきた」
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らーて - 初コメ失礼します。こんな素敵な作品が読めて僕は幸せです!。続き楽しみにしています。更新頑張ってください。 (2022年8月10日 15時) (レス) id: 50b204a28c (このIDを非表示/違反報告)
涼夏人 - 失礼します。初コメです。この作品、神!神作!続き楽しみにしています。頑張ってください! (2022年8月8日 16時) (レス) @page31 id: 8404a67f98 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - おかえりなさい!!自分もめっちゃ低くてやばかったです!ゆっくり待ってます!頑張ってください (2022年6月29日 14時) (レス) @page7 id: d3fac2225a (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - おかえりなさい!!僕の方がテストやばかったので安心してください…☆ゆっくりで大丈夫なので!!更新待ってます!、 (2022年6月28日 22時) (レス) @page7 id: 511b9233eb (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - おかえりなさい!お話はゆっくりで良いのですのよ!おかえりなさい(о´∀`о) (2022年6月28日 19時) (レス) @page7 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむね☆ | 作成日時:2022年6月12日 11時