じゅうはちわ ページ19
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女性を警察に引き渡したあと、中村さんは気まづそうに苦笑いをした。
中「あーっと…大丈夫ですか？」
「へいき、です」
中「や、平気じゃなくて大丈夫なんだけど…」
とりあえず、うちにおいで
あえて事情は聞かない中村さんに、わたしの心がズキリと痛んだ。あの時、逃げてしまった罪悪感があるのだろうか。
中「こないだは、踏み込んでごめん」
中村さんの家にお邪魔して、ココアを一口飲む。じんわりと温いココアが身にしみて、ちょっと泣きそうになる。
「わたしも、逃げてすみません」
中「うん。…それで、アレはなに？」
優しく微笑んで私の頭をポンポンっと撫でたあと、中村さんはふと真剣な顔に戻った。アレ、とは間違いなくさっきの女の人のことだろう。
「アレは、なんというか…」
中「福山さん絡み、なの？」
「…」
沈黙を肯定ととった中村さんは、携帯を取り出して誰かに電話をかける。
中「あ、福山さん？今日、A帰らないんで。はい、それでは」
電話の向こうから潤兄の「はぁ！？」と叫ぶ声が聞こえる。私は思わず立ち上がって、中村さんから携帯を取り上げるが、電話は切れてしまった後だった。
中「そういうことだから。とりあえず、風呂入っておいで。」
そう言うと、テンパる私をよそに中村さんは私に貸す服を探し始めた。え、えぇぇぇ…と唖然としていると、いつのまにか私は中村さんの家のお風呂に浸かっていた。
「つい、ながされてしまった…」
反響する私の声。
その声は鼻声で、それを聞いてまた泣きそうになる。
_______ もう、泣いてしまおうか。
全部全部投げ出して、脇目も振らずに。
子供みたいに、大声あげて…。
中「泣いたら、いいんじゃないか」
「なっ中村さん！？」
不意に聞こえた声にギョッとして、バチャンと水音を立てる。ドアを１枚隔てたところで、中村さんがアワアワと慌てているのがわかって、少し笑みがこぼれる。一瞬間があいて、中村さんも照れたように笑った。
中「服、置いとく」
「ありがとうございます」
中村さんが脱衣所を出たところを見計らって、お風呂から上がる。貸してもらった服は、やっぱり男の人の服ってこともあって袖が余った。
「潤にいの服よりおっきい…」
福「…着たことあるんだ？」
「まぁ、幼馴染ですし」
あ、ココアあったかい。
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