レイの場合 ページ46
レイside
俺がワタルと入れ替わって数時間。
一向に目を覚まさないセイラ。
死んでるんじゃないか、と数分おきに心配になるが、耳をすませば穏やかな寝息が聞こえてくるから、生きてはいるんだろう。
レ「…まだ起きねぇのかよ……」
指で頬を突いてみても反応無し。
ま、起こそうものならシュウあたりに病人を無闇に起こすな！とか言われそうなので控えておく。
そういえば、昔よく凛月の看病してやってたっけ…
貴「レイ…にぃ…？」
レ「おう。お前のレイ様が来てやったぞ」
貴「お腹空いた…」
レ「…」
え？俺がここにいることの感想それだけ？
まぁ別にいいけどよ…
レ「ほら、食わしてやるから。体起こせるか？」
貴「ん、ありがと」
支えねぇと起き上がれないのか…
ナツメとワタルから聞いた話より悪化してるな。
そういや、凛月もそうだったっけか？
一回良くなって、また悪くなるみたいな…
レ「美味いか？トマトリゾットだってよ。
シュウが言ってた」
貴「美味しい。流石シュウにぃ」
茶碗一杯分をすっかり平らげ、満足そうなセイラにここで悲報だ。
レ「残念ながら、ナツメのじゃなくて市販の薬だ」
貴「…やだ」
レ「やだじゃねぇ。飲まなきゃ治るもんも治んねぇぞ？」
貴「だってそれ…見るからに苦そう…」
レ「そんな文句を言うヤツには…」
水を口に含み、薬を放り込む。
…これは確かに苦い……
貴「レ、レイにぃ…？なにして…んぐっ⁉」
セイラの喉がゴクリと鳴るのが聞こえて、口を離す。あー、駄目だ。この顔はそそる。
レ「んっ…はぁ…飲み込んだか？」
貴「の、飲んだけど！飲んだけど！」
レ「飲んだけどなんだよ」
貴「う、
なにしてんの⁉」
恥ずかしいからか、熱だからかわかんねぇくらい顔を真っ赤にしてテンパる姿を見て、なんだ元気じゃん。と思った。
レ「バーカ。こんくらいじゃ
貴「いかない！バカ！」
レ「ほら、寝とけ。治ったらちゃんと構ってやっから♪」
貴「…じゃあ、早く治す……おやすみ！」
布団から覗く耳まで真っ赤に染めて、俺に背中を向ける。
いや…それは反則だろ…
レ「あーもー…さっさと治せよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：バレーノ | 作成日時：2019年2月1日 15時
