夏祭り ページ37
No side
貴「この世界に『夏祭り』って文化あるの？」
夏を控えたある日、唐突に頭に浮かんだ疑問だった。もうすぐあの楽しみでいっぱいの暑い季節がやってくるというのに、それを知らせるポスターなどを見たことがなかったからだ。
ナ「そういえバ、お知らせとかも見たことないネ」
シ「どうなんだい？こういうことは僕らよりも君らの方が分かっているだろう？」
シュウがクロロとロキに目を向けた。
ク「ふむ…ヨークシンで9月に大規模なオークションがあってな。その時は街中お祭り騒ぎだが、『夏祭り』という特定のイベントは見たことがないな」
ロ「オレも見たことないね」
貴「え〜…つまんないの…」
不貞腐れたように口を尖らせるセイラにカナタが一言。
カ「じゃあ、ぼくたちでやってみたらどうですか？」
レ「は？めんどく…」
貴「楽しそう！」
レ「おい」
ワ「いいじゃないですか。楽しそうですし、私もお祭りは好きです！それに、あの笑顔を見ても反対できますか〜？」
キラキラと目を輝かせるセイラと心なしかソワソワしているナツメを見て、レイが諦めたようにため息をついた。
レ『なつまつり？って何するんだ？』
貴「屋台がいっぱい出てね？浴衣を着て、仲のいい人とか、家族とかと一緒にご飯食べたり、射的とかやって遊ぶの！はっ！インスピレーションが！」
ワ「お祭りによっては花火が上がるものもありますね」
カ「あと『ぼんおどり』も『ていばん』ですね♪」
シ「自治体の依頼でライブをやっていたユニットもいたね」
各々記憶の中の夏祭りを思い出してみる。
すると、一番乗り気でなかったレイが徐に口を開いた。
レ「だったら、色々準備しなきゃだろ。この街でやるとして、自治体に話持ちかけて商店街の連中に屋台飯とかの作り方教えたり、浴衣作らせたり…
……なんだよ。ニヤニヤしやがって…」
貴「いや、なんだかんだ言ってレイにぃが一番ちゃんと考えてるなって」
ク「セイラとナツメには極端に甘いよな。お前」
レ「うるせぇ…」
カ「ふふ♪レイ、『かお』が『まっか』ですよ」
ロ「師匠、そんな顔もできたんスね…」
レ「お前は後で俺とスパーリング10本な」
ロ「オレにだけ辛辣っ！！！」
こうして『エキセントリック』達による夏祭りの準備が始まったのだ。
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作者名：バレーノ | 作成日時：2019年2月1日 15時
