居候日記 その1 ページ34
ロキside
今日から日記を書こうと思います。
理由は、悪魔に拾われたと思ったら謎に鍛えられる羽目になって、初めての訓練で死を直感したからです。
朝、半年ほど前に仕事で捕獲対象だった彼らに再会した。話を聞くところによると、彼らはこことは違う世界から来たらしい。
今はみんな仲良く、家族として暮らしているらしい。その末っ子にオレは相当嫌われているんだけれど…。それにオレのポジションはペット(レオンというマーダーウルフ)のペットだ。泣けてくる。
さて、問題の訓練。
今日は相手の攻撃を避ける練習。
ある程度念も習得して、そこそこに生き抜いてきたんだ。今更練習するまでもない。
と、思ってたんだよ。
庭に出ると、青い髪のヤツ(確かカナタだったはず)がオレの数メートル先に立った。
師匠(呼べって言われた)は「今日の相手はコイツだ」と親指でクイッとカナタを指した。
「よろしくおねがいします」と語尾に音符でも付きそうな調子でカナタが微笑んだ。つられて俺も「よろしくおねがいします」と頭を下げた。
「では、よけてください
ばーん☆」
瞬間。耳元でチュンッと何かが横切る音がした。
目の前には手を銃のようにして構えるカナタ。
後ろには何かが木にめり込んだ跡。
全身からブワッと汗が出るのを感じて、
オレは一目散に庭を駆け回った。
それを見た師匠が楽しそうに笑ったことは瞬間的に思い出せる。
訓練が終わると、シュウが焼き菓子と紅茶を淹れていた。オレの分も用意してくれていた。訓練があったからか、少し優しくされただけなのに涙が出そうになった。
ティータイムの間、オレへの質問をたくさんされた。そこで知ったのは、シュウ、ワタル、カナタとオレが同い年ということだ。オレより遅く念を修行し始めたのにこの差。もしオレも彼らと同じように念を修行することになっても、きっとオレは彼らみたいにはなれないと思った。
今日はまだ1日目だ。
これから先、まだまだ恐ろしい訓練はたくさんあるんだろう。それでも、偶然だとしてもオレを選んでくれた師匠に少しでも報いたいと思う。
きっと、師匠がいなければオレはこんなに人と触れ合うことはなかったから。
でもやっぱり訓練はもう少し手加減して欲しい。
無理。死ぬ。
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作者名：バレーノ | 作成日時：2019年2月1日 15時
