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同僚と、その恋人に見送られ、エレベーターへと乗り込む。
扉が閉じたのを確認して、隣に立つ先輩へと言葉を投げ掛けた。
「江口さんがあんなに強引なの、珍しいっすね」
「そんな強引だった？」
先輩はこちらを見ると、あっけらかんとそう言った。
「いや、普段通りっちゃあ普段通りなんですけど、女性相手にあんな誘い方は見たことないなって」
偶然遭遇した、壮馬さんの彼女をほぼ有無を言わさずに飲みに誘う姿は見慣れないものだった。
ちょっと強引なことはあっても、誘った相手本人の気持ちを一番に優先してくれるし、嫌な気持ちになることはないくらいの、あっさりしたものだ。
そもそも彼女を誘うなんて思ってもいなかったから、今でも少しびっくりしている。
「あー、そういうことね。だって、ああしないと、彼女さん気にしちゃいそうだったじゃん」
エレベーターが1階に到着し、扉が開く。
それをくぐり抜けながら、先輩は続けた。
「壮馬もああ言ってたし、帰ることを1番最初に考えたんだけどさ。彼女さん...えっと、Aさん？だっけ？」
「だったと思います」
まだちゃんと紹介してもらっていない彼女の名前を、記憶の中から探り出して返事する。
壮馬さんが彼女を呼ぶ時の顔が、見たことないくらい嬉しそうなのが印象的なおかげで覚えていたようだ。
「何か気遣い屋って感じだったから、飲み中止とかになったら自分のせいでってなりそうだったから、ああするのがいいかなって。早めに切り上げて2人にしてあげればいいし」
確かに彼の言う通り、江口さんとの謝り合戦を見ただけで、とても気遣いするタイプなんだろうなとは思っていたけれど。
あんな僅かな時間で、先輩はそこまで考えていたのかと感心した。
「まぁ、Aさんが気にしたとしても、壮馬なら上手いことやっただろうけどね」
「それはそうっすね」
エントランスを出ると、年末に差し掛かった真冬の空気が肌に突き刺さった。
隣を歩く江口さんが「さっぶ！」とやたらとテンション高く叫ぶ。
冷たい風に吹かれながら、酒を求めてコンビニまでの道程を歩き出す。
「そーいや、界人に聞かずに、勝手にAさんのこと誘っちゃってごめん」
「別にいいっすよ。壮馬さんにあんな顔させるなんて、どんな人か興味あるんで」
恋人を前にした壮馬さんは、それはもう幸せそうで。
わかりやすく言えば、デレデレしていた。
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うらら(プロフ) - りなさん» コメントありがとうございます。全て読んでくださったなんて、すごく嬉しいです！本当に理想ですよね...！のんびり更新になりがちですが、お付き合いいただけると嬉しいです！ (2023年5月3日 21時) (
レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 前作から全部読ませていただきました。もう最高過ぎて終始ニヤニヤがとまりませんでした。隣の部屋に推しが住んでたとか理想のシチュエーション過ぎます。続き楽しみにしています。 (2023年5月3日 0時) (レス) @page33 id: 152e2618cd (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - ななはさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！コメントいただけて、とても嬉しいです。更新頑張ります！ (2023年4月23日 10時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - 一気読みしちゃいました…！！めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！！ (2023年4月23日 1時) (レス) id: d3c7f32016 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました💦 (2023年2月28日 14時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うらら | 作成日時：2023年2月27日 22時
