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025-2 ページ38

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せめてもとティッシュを渡そうと立ち上がると、Aさんが不思議そうな表情で見上げてくる。
自然と上目遣いになるのが、もう可愛くて。
今までだと、ここで我慢しないといけなかったけれど、Aさんはもう俺の彼女になったんだなと思うと気持ちが軽かった。

「よかったらどうぞ」
「ありがとうございます」

ティッシュケースをAさんの前に置く。
彼女は小さく頭を下げると、ティッシュを取って涙を拭った。

「お茶、冷めちゃっただろうし、入れ直して来るね」

ふとテーブルの上のマグカップが目に入り、立ち上がったついでとマグカップに手を伸ばす。
それを、涙を拭き終わったAさんが制止した。

「あの、私はそのままで大丈夫です。いただいてもいいですか?」
「勿論」

本人が冷めててもいいと言うのだからいいかと、また彼女の隣に座る。
Aさんは「ありがとうございます」と言いながらマグカップを手にすると、ごくごくと勢いよくお茶を飲んだ。

「喉、乾いてた?」
「...みたいです。緊張したからかも」

自分でも驚いたようで、恥ずかしそうにはにかむAさん。
その笑顔も些細なことで照れるところも、何もかもが可愛く見えてしまう。
冷静なつもりでいたけど、しっかり浮かれてるんだなと実感した。

「俺も。すっごく緊張した」

言いながら、身体の力を抜きソファへと身体を沈めていく。
Aさんは驚いた表情を浮かべて、マグカップをテーブルに置いた。

「そんな風には見えなかったです」
「好きな人の前だからカッコつけてただけだよ」
「すごく余裕そうだったのに」

彼女は、“好きな人”という言葉に照れたようで、それを隠すように顔を背けながら言った。

「そう見えてたなら、役者冥利に尽きるね」

自信あり気に答えると、ふふっと楽しそうな笑い声が彼女から漏れた。
その後、考え込むように黙りこくった彼女に釣られるように、俺も黙る。
暫く続いた無言の時間は、不思議と苦ではなく、なんなら心地よいくらいだった。

そういえば、前にもこんなことあったなぁ。

マグカップをじっと見つめるAさんの横顔を眺めながら、思い出す。
確かコンビニからの帰り道で、俺の質問に真剣な顔で考え込んでるのが嬉しかったっけ。
そんなことを考えていると、おずおずとした様子で、Aさんが口を開いた。


「あの、壮馬くん。鬱陶しいかもしれないこと、聞いてもいいですか?」



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設定タグ:男性声優 , 斉藤壮馬 , 石川界人   
作品ジャンル:恋愛
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うらら(プロフ) - りなさん» コメントありがとうございます。全て読んでくださったなんて、すごく嬉しいです!本当に理想ですよね...!のんびり更新になりがちですが、お付き合いいただけると嬉しいです! (2023年5月3日 21時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 前作から全部読ませていただきました。もう最高過ぎて終始ニヤニヤがとまりませんでした。隣の部屋に推しが住んでたとか理想のシチュエーション過ぎます。続き楽しみにしています。 (2023年5月3日 0時) (レス) @page33 id: 152e2618cd (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - ななはさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!コメントいただけて、とても嬉しいです。更新頑張ります! (2023年4月23日 10時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - 一気読みしちゃいました…!!めちゃくちゃ好きです!!応援してます!!! (2023年4月23日 1時) (レス) id: d3c7f32016 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます!修正いたしました💦 (2023年2月28日 14時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うらら | 作成日時:2023年2月27日 22時

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