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「後、俺がAさんのことよく見てるからかも」
相変わらずにこにこと微笑んだまま、彼は爆弾を落とす。
何気無い会話の中で、こういうことをサラリと入れられると、本当に困る。
ドキドキしてしまって、落ち着けないじゃない。
それに今日は何だか、甘い言葉が多すぎやしないだろうか。
「...私だって、斉藤さんのこと見てるつもりですけど、わかんないです」
彼の言葉に乗っかる形で、私も彼のことを意識しているんだと伝えてみる。
彼が席を外していた間に散々考えたが、こんなに長時間一緒に居られることはもうないかもしれない。
デートしようと言われてから、今日を迎えるまで結構な日数を費やしたし、そもそも彼の休みが少な過ぎる。
働き詰めという訳では無いけれど、一般会社員の私とは中々スケジュールが合わないのだ。
現に今日も休みだというのに、彼には仕事の電話が来ていたし。
今回は彼からの誘いがあったから実現したけれど、これからは？
LINEのやり取りをするくらいの仲にはなったと思うけど、所詮はただのお隣さんなのだ。
会う理由がなくなってしまう。
それが欲しいのなら、気軽に会える関係にならないと。
「俺は、Aさん程素直な人間じゃないから」
また、斉藤さんはクスクス楽しそうに笑う。
茶化すような言い方をしていたかと思えば、すっと眼差しが真剣なものに変わった。
「それに、俺だってわからないことだらけだよ。何でまた名字呼びに戻ってるんだろうとか、俺のことどう思ってるんだろうとか」
彼に言われて、呼び方が戻った事に初めて気付く。
その瞳にしっかりと目を見つめられ、視線を逸らそうにも逸らすことが出来なかった。
「えっと、壮馬くん...ごめんなさい。まだ慣れてなくて」
言い訳じみた私の返答に、斉藤さん...もとい、壮馬くんが、ふふっと笑い声を出した。
「俺と出会う前は呼んでたのに？」
「それは、ただのいちファンだったし...画面の向こうの人だったからで」
「うん、知ってる」
楽しそうに笑う壮馬くんは、すごく可愛い。
だけどよく考えれば、後者はともかく、前者の疑問の答えは知っていたはずで。
もう何度か理由を伝えているし、そのせいで、さっきあんなに迫られたというのに。
壮馬くんは、時々ちょっと意地悪だ。
「でも、Aさんに名前で呼ばれるの、すごく嬉しいから出来れば名前で呼んで」
にっこりといつもの笑顔を向けられると、私に断る術はない。
...これもわかってやってるんだろうか。
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うらら(プロフ) - りなさん» コメントありがとうございます。全て読んでくださったなんて、すごく嬉しいです！本当に理想ですよね...！のんびり更新になりがちですが、お付き合いいただけると嬉しいです！ (2023年5月3日 21時) (
レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 前作から全部読ませていただきました。もう最高過ぎて終始ニヤニヤがとまりませんでした。隣の部屋に推しが住んでたとか理想のシチュエーション過ぎます。続き楽しみにしています。 (2023年5月3日 0時) (レス) @page33 id: 152e2618cd (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - ななはさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！コメントいただけて、とても嬉しいです。更新頑張ります！ (2023年4月23日 10時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - 一気読みしちゃいました…！！めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！！ (2023年4月23日 1時) (レス) id: d3c7f32016 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました💦 (2023年2月28日 14時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うらら | 作成日時：2023年2月27日 22時
