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「...その言い方、ズルいです」
「だって、Aさんが名前で呼んでくれないから」
追い打ちをかけるように、悲しい表情を作って上目遣いをすると、彼女は「うっ...」とうめき声をあげた。
予想通り、可愛い感じのものに弱いようだ。
「ねぇ、ダメ？」
「...っ、呼ぶ...ので、とりあえず離れてください！」
更に畳み掛けると、観念したように彼女は言った。
これ以上ないくらいに真っ赤な顔は、今にも泣き出してしまうんじゃないかと言うくらいに困っている。
「呼んでくれたら離れる」
「え...」
羞恥心に耐えれず呼んでくれないかと目論んでみるも、すんなりとはいかず、彼女の表情が一気に絶望感を漂わせた。
まだまだ、この状況を楽しみたい気もするが、そろそろ彼女が限界そうだ。
少し、意地悪し過ぎたかもしれない。
「そう...ま、くんっ」
「え？」
どうやって切り上げるかなぁ、なんて考えていたら、か細い声が聞こえた。
その言葉に、耳を疑った。
聞こえてなかった訳ではないが、消え入りそうな声だった為、妄想かもしれないと、自分の耳を信じ切れずにいる。
「ごめん、何て？」
恥ずかしそうに下を向く彼女を見ながら尋ねると、顔はこちらに向けることはなく、先程よりも大きな声が返って来た。
「壮馬くん、少し離れてくださいっ」
一見、拒絶とも取らかねないその言葉は全く気にならず、名前を呼ばれたという多幸感に胸がいっぱいになった。
彼女は至って真剣なのだろうが、嬉しすぎて、ニヤニヤと口元が緩んでしまう。
それを手でさり気なく隠しながら、Aさんからゆっくりと離れた。
「ありがとうございます」
言葉通りに離れたからか、何故かAさんがお礼を言う。
寧ろ、俺が感謝すべきなのでは。
そう思いながらも、今は彼女が名前を呼んでくれた喜びですぐには対応出来なかった。
「こちらこそ」
俺がそう返すと、暫く沈黙の時間が流れた。
やはり、恥ずかしいのか、Aさんは真っ赤な顔を隠すように頬を両手で覆っている。
その姿が、また可愛くて、名前を呼ばれた嬉しさも相まって、いつまでもこうしていれるような気がした。
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うらら(プロフ) - りなさん» コメントありがとうございます。全て読んでくださったなんて、すごく嬉しいです！本当に理想ですよね...！のんびり更新になりがちですが、お付き合いいただけると嬉しいです！ (2023年5月3日 21時) (
レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 前作から全部読ませていただきました。もう最高過ぎて終始ニヤニヤがとまりませんでした。隣の部屋に推しが住んでたとか理想のシチュエーション過ぎます。続き楽しみにしています。 (2023年5月3日 0時) (レス) @page33 id: 152e2618cd (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - ななはさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！コメントいただけて、とても嬉しいです。更新頑張ります！ (2023年4月23日 10時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - 一気読みしちゃいました…！！めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！！ (2023年4月23日 1時) (レス) id: d3c7f32016 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました💦 (2023年2月28日 14時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うらら | 作成日時：2023年2月27日 22時
