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022-4 ページ27

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スマートフォンの向こう側へ話し掛けながら部屋を出て行く彼を見送ると、急に身体の力が抜けてしまい、その場にへたれ込んだ。

何だったんだ、さっきのは⋯!

今になって心臓がドクンドクンと、また大きな音を立てる。
部屋中に響いているのではないかというくらい、その音だけが耳に届く。
先程の状況に頭が追い付かず、夢でも見てたんじゃないかと思うくらいだ。

とりあえず落ち着こうと、そのままゆっくりと深呼吸をしてみるも、何度繰り返しても全然状況は変わらなくて。
大きな音を鳴らし続ける心臓辺りを手で押さえる。
何も考えないように目を閉じ深呼吸をしばらく続けて、ようやく少し落ち着くことが出来た。

長い時間かかってたと思うのだが、斉藤さんが戻ってくる気配はない。

⋯とりあえず、洗い物しちゃお。

何事も無かったかのように、そう考えながら立ち上がる。
シンクの前に立つと、調理の時と同じように洗い物を始めた。

何も考えないように洗い物に集中しようとしても、先程のことが頭に浮かんで、照れくさい気持ちがぶり返す。

あのまま電話が来なかったら、どうなってたんだろう。
斉藤さんとどうこうなりたいとか、なりたくないとかは、今はまだよくわからない。
ただ、好きなんだとだけ。

私の自惚れでなく、彼の言葉が本当だったら彼は好意を持ってはくれていて。
なのに自信が持てないのはなんでなのだろう。

ごちゃごちゃと考えているうちに、洗い物が終わってしまった。
それでもまだ、斉藤さんが戻ってくる気配はない。

「どう⋯しようかな⋯」

頭の中の考え事にも、この1人の状況にも、どうしていいかわからず小さく呟いた。
人様の家で何かをする訳にもいかず、ただソファに座る。
そのまま、ぼんやりしとこうかとも思ったが、そうすれば先程のことを思い出し、またぐちゃぐちゃと頭の中で考えることになってしまったのだった。



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設定タグ:男性声優 , 斉藤壮馬 , 石川界人   
作品ジャンル:恋愛
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うらら(プロフ) - りなさん» コメントありがとうございます。全て読んでくださったなんて、すごく嬉しいです!本当に理想ですよね...!のんびり更新になりがちですが、お付き合いいただけると嬉しいです! (2023年5月3日 21時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 前作から全部読ませていただきました。もう最高過ぎて終始ニヤニヤがとまりませんでした。隣の部屋に推しが住んでたとか理想のシチュエーション過ぎます。続き楽しみにしています。 (2023年5月3日 0時) (レス) @page33 id: 152e2618cd (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - ななはさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!コメントいただけて、とても嬉しいです。更新頑張ります! (2023年4月23日 10時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - 一気読みしちゃいました…!!めちゃくちゃ好きです!!応援してます!!! (2023年4月23日 1時) (レス) id: d3c7f32016 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます!修正いたしました💦 (2023年2月28日 14時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うらら | 作成日時:2023年2月27日 22時

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