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慌ててその考えを振り払うように、彼の質問へと答えた。
「急ぎの案件が入ってきたとかで、詰めてやってて。この時期はこういうの多いんです。でも斉藤さんの方がお忙しいんじゃないですか？」
「忙しくないとは言いませんが、この数日間はAさんより早く帰れてる方が多かったですよ」
「そうなんですね。少しでも早く帰れたならよかったです」
隣の斉藤さんを見上げると、バッチリと視線が合った。
さっきまで優しい笑顔を浮かべていたのが、不意に真剣な表情に変わった。
「でもそのせいで、Aさんに会えなくて寂しかったです」
ドキン、と胸が高鳴る。
また熱が上がったんじゃないかと思うくらいに身体中が熱くなった。
ほんと、どうしてこの人はこんなにもサラッとそういうことを言ってしまうのだろう。
彼と知り合ってから、この感覚に陥ることが増えた気がする。
「さっき、俺に会いたかったって言ってくれたじゃないですか」
何も言えずに真っ赤になっているだけの私に、彼は続けた。
「それは“壮馬くん”に、ですか？“斉藤さん”に、ですか？」
「え...？」
変わらず彼は真剣な表情で。
思わず目を逸らしてしまった。
“壮馬くん”と“斉藤さん”
確かに、この数日間どちらにも会えてなかった。
壮馬くんの楽曲や出演しているものは全く見れず聴けず、斉藤さんとはメッセージのやり取りはあったとはいえ、見かけることすらなく。
寂しかったのは壮馬くんの声が聞けなかったから？
それとも斉藤さんに遭遇しなかったから？
私が会いたくて探していたのは...
「Aさん、着きましたよ」
彼の声にハッとする。
頭の中でごちゃごちゃと考えてしまっているうちに、いつの間にかマンションのエレベーターホールに着いていた。
黙りこくってしまったであろう私に指摘することなく、どうやら彼は見守ってくれていたようだ。
「すみません...！」
「大丈夫ですよ」
いつもの優しい笑顔が私に向けられる。
気付いてしまった気持ちのせいで、彼の顔が真っ直ぐに見ることが出来ずに少し目を逸らしてしまった。
彼に促されるままエレベーターに乗り込むと、静かな時間が訪れた。
「......あの」
さっきの質問の答えを伝えねばと、思い口を開く。
これを伝えるのは最早告白に近いのでは、と思うとなかなか言葉が出てこない。
次の言葉が出る前に、無慈悲にもエレベーターは目的の階へと着いてしまった。
再び彼に促されエレベーターから降りると、彼が先に口を開いた。
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うらら(プロフ) - りなさん» コメントありがとうございます。全て読んでくださったなんて、すごく嬉しいです！本当に理想ですよね...！のんびり更新になりがちですが、お付き合いいただけると嬉しいです！ (2023年5月3日 21時) (
レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 前作から全部読ませていただきました。もう最高過ぎて終始ニヤニヤがとまりませんでした。隣の部屋に推しが住んでたとか理想のシチュエーション過ぎます。続き楽しみにしています。 (2023年5月3日 0時) (レス) @page33 id: 152e2618cd (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - ななはさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！コメントいただけて、とても嬉しいです。更新頑張ります！ (2023年4月23日 10時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - 一気読みしちゃいました…！！めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！！ (2023年4月23日 1時) (レス) id: d3c7f32016 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました💦 (2023年2月28日 14時) (レス) id: 883b848a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うらら | 作成日時：2023年2月27日 22時
