34.一瞬で決まった。 ページ35
「……L市って、隣……」
隣の市であるL市にイレギュラーが発生した、というニュース。時刻を確認する。5時21分。父からの連絡は……まだない。通知をタップして詳細を読む。巻き込まれたのは小学生の女の子と思わるのか……
3人の方を見ると、それぞれがニュース記事を読んでいた。最初に顔を上げたのは蒼太、次に理紗、最後に健。ゆっくりと、互いに顔を見合わせる。……私の答えは決まっている。
「……行こう」
そう言ったのは健。私はすぐに頷き、残り2人も同意を示してくれた。すぐにカバンの中にストラップがあることを確認し、定期券を入れる。
もう、私たちに迷いはない。
『次は、L市です……をご利用の方は……The next stop is……』
車内アナウンスが、次がL市であることを教えてくれる。L市は、私と健が住むM市と、学校のあるK市の間に挟まれている、小さめの市だ。線路の都合もあって、行くにはこの電車しかない。オマケに『L市』で一括りにされてしまっている。つまりはこの駅しかないということ。……まあ、K市がでかいとも言えるけど。とにかく、私たちは次で降りる。決意を胸に……
待って、L市のどの辺に行けばいい？
降りる直前に気がついたこの問題は、すぐに解決した。遠くの町に行くどころか、目的地は激近だった。
駅を出ると、すぐに人だかりがあった。パッと見ただけでも、パトカー、警官、野次馬の間から見えた黄色いテープ、そしてその奥にある黒い穴。
「探す必要なかった……」
これまでの経験(2回だけど)からして、穴のすぐ近くにワープすることができれば話が早い。できるだけ近くに、個室的な場所は……
「……谷口さん？」
私が辺りを見回していると、後ろにいた蒼太が何か、いや誰かに気づいたようだった。視線の先には……知らない男子。
身長からして、私たちと同い年かプラスマイナス1歳。少なくとも高身長ではないし特に低いという訳でもないと思う。彼の後ろには女性が1人、彼の背中に手を回してさすっている……母親かな？2人は黄色いテープに触れるか触れないかギリギリの最前列で肩を震わせていた。泣いている。2人ともただ泣いていて、注目を浴びている……
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シュウ - 待っ…面白いです！ (2021年9月3日 0時) (
レス) id: f920010a89 (このIDを非表示/違反報告)
恋 - 読んでいて楽しいです!こんなおもしろい作品をつくってくれてありがとうございますっ!これからも応援してます! (2021年5月8日 20時) (レス) id: b0074abe1a (このIDを非表示/違反報告)
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