2.意味がわかりません。 ページ3
渡辺と会いたくない理由の1つが、単純にさっきまでこの人の文句を言っていたから。2つめが、この人が生活指導の先生だということ。やばい怒られる。
「松原に山崎がいるということは、A組の生徒か。なんで走ってる?ぶつかっただろ」
……確かに、先生の近くには男子が1名、女子が2名。男子が膝を擦りむいていて血が出ている。かなり勢いよくぶつかったとみえる。
「化学の実験に遅れてるんで、さようなら」
「お前らなぁ……」
さっき声をかけてきた方の女子……確か竹口さんだっけ。さらっと流して行っちゃった。
「私達も行こ」
「膝の怪我……大丈夫かな?」
「理紗は優しすぎるよ、とりあえず今は急がないと、目立ってるし」
全部事実。まあ怪我が気にならないと言っては嘘になるけど……今はとにかく、遅刻してるんだ。急ぐ義務があるでしょうよ。
1歩、踏み出した瞬間だった。
目の前の地面が、
ぽっかりと空いた黒い穴。その場にいるのは、渡辺先生と男女1名ずつ。
「えっ」
「はっ?」
「なに、」
「うわああぁぁ!!」
盛大な叫び声を上げて、3人は穴の中に落ちた。
何これ……なにこれ……
「何これえええ!!」
「渡辺先生!!」
なんで穴があくの、なんで落ちた音がしないの……!
「松原、何が、って何だこれ!?」
「井上先生!」
「……2人とも落ち着いて!できるだけ早く、安全に遠回りして理科室まで来て!」
「はっ、はい!」
穴を挟んで向こう側から声をかけてくる井上先生は、普段は厳しいおじさん先生だけど。
いつもより、頼もしく思えた。
下の階へ降りて、その階の廊下を通って理科室に着いた私たちを迎えてくれた井上先生。私たちを着席させると、全体に指示を出し始めた。
火事が起きた時と同じ経路を使って校庭へ避難することになったらしい。火事扱いなんだ……。
「順番は適当でいいから、騒がずについて来るように」
理紗を連れて、井上先生に従う。私たちのクラスメイトの多くが穴を見ているからか、他の学年やクラスよりも騒がしかった。
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シュウ - 待っ…面白いです! (2021年9月3日 0時) (レス) id: f920010a89 (このIDを非表示/違反報告)
恋 - 読んでいて楽しいです!こんなおもしろい作品をつくってくれてありがとうございますっ!これからも応援してます! (2021年5月8日 20時) (レス) id: b0074abe1a (このIDを非表示/違反報告)
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