1.今日も退屈です。 ページ2
……ああ、眠い。保健とかいらない。
ついでに湿度も高い。居心地が悪くて仕方がない。
大嫌いな体育がなくなったという意味では、恵みの雨が降ったけれど。『授業が足りないから保健やります』とか、聞いてないし。
どうも、松原舞です。いきなり文句ばっかだな、と思ったそこのあなた。１回渡辺の授業受けてみな。渡辺は体育教師ね。
「えーっと、今日はチャイムが鳴らないって知ってるかな、うん。終わりまーす！来週は晴れたら外だから体操服忘れんなよ！」
チャイム鳴らないとか聞いてません。朝に言ってよ担任……とここにいない人に文句を垂れても仕方がない。次は化学だっけ、と思いながら教室の端へ向かう。
「理紗ー！」
「あっ、舞ちゃん……眠かったぁ……」
「体育の先生に保健やらせるって、なんか違うよね……あっ、次は化学で合ってるよね？」
「合ってるはず……どうしよう、今の範囲があんまり分かんない……」
またまたぁ、成績いいじゃん。そんなことを理紗と駄弁る。理紗は私の大親友。クラスが一緒だなんて、A組最高！
「……先生来ないね」
私たちがそのことに気がついた時には、同じことで教室がざわついていた。化学の井上先生……遅刻？いやあの人が遅刻はちょっとないか。
「チャイム鳴らないんだよな？」
「時間が軽く過ぎてるのに来ないとかないだろ」
教室のざわめきが大きくなっていく。
「……あっ、今日は、」
「山崎さん、何か思い出したの？」
近くの女子に声をかけられて、驚いた様子の理紗。いつからそこにいた。話し声が少なくなる。
「今日は……実験、だったと思います、多分」
最後の方は、皆の焦った声でかき消された。
待って、A組全員遅刻じゃん。
白衣とプリント、筆記用具を手に廊下を走る私たち。開いた扉の奥からの怪訝そうな視線に構ってはいられない。うるさくてごめんなさい、と心の中で謝っておこう。ただし棒読み。
この学校は中高一貫で、高校1年生の私たちは中学生の建物の階段をかけ上がらないと理科室にはたどり着けない。3年間いたから余裕だけど。
感覚だけで走っている私たちは、2番目くらいに出会いたくない人と出会ってしまった。1番は井上先生、その次くらいがこの人。
どうしてここに渡辺がいるんだ。
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シュウ - 待っ…面白いです！ (2021年9月3日 0時) (
レス) id: f920010a89 (このIDを非表示/違反報告)
恋 - 読んでいて楽しいです!こんなおもしろい作品をつくってくれてありがとうございますっ!これからも応援してます! (2021年5月8日 20時) (レス) id: b0074abe1a (このIDを非表示/違反報告)
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