離さないで (ページ8)

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大「A」

『たぁくん、また来てくれたんや』

最近、たぁくんがよく遊びに来てくれる。

『花ちゃんはええの？？』

大「うん、まぁ」

そう言って病室のものをいじる。

『移植はしないよ』

大「……移植しよう。」

『なんで？』

大「Aには、長生きして欲しいから」

『じゃあ手術は絶対成功するの？』

大「それは……」

ほら、たぁくんもそうなんだ。

『ごめん、今日は帰って』

大「…嫌や」

なんやねん、パパもたぁくんも。

『ほなAが外出る。』

大「ちょ、外雨やから…」

『ほっといて！！！』

私が急げばたぁくんも後ろから来てくれて、

なにか持ってると思えば傘と上着。

ひとつずつ。

大「A！」

『死ぬの怖いねん……』

大「え…？」

声が震えて、目頭が熱くなる。

『死ぬのが怖い…！(泣)』

大「死なへんよ…」

『たぁくんにはわからへん！！着々と自分の死が近付いてるのに、自由に生きられへん気持ち！！(泣)』

抱きついて、涙を流した。

味方でいてや、たぁくん。

『たぁくんとまるちゃんと、もっと一緒に居りたい！！！(泣)』

大「…A、俺花ちゃんのとこ行かな」

『またあの子の話？！(泣)』

大「…今日、記念日やねん」

あぁ、Aはとっくにあの子に負けてたんや。

『…もうええよ、行って』

大「病室まで送るから…」

『いいから…！！！』

大「……」

『…ほっといてくれへんねやったら今すぐ死ぬ』

つくづく、自分って嫌な女やなって思う。

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