君をこの手で包みたい.2 (ページ32)

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番外編3 ページ32

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『…？裕？』

横「ん？あ、ごめん。」

最近よくスマホに熱中してる。

ゲームか？と思ったけど、よく見ると文字を打ってる。

ﾋﾟｺﾝｯ

大〈早く終わった。〉

大〈迎え行ったろか？〉

『裕、なんか忠義が迎え来てくれるって』

横「ん？おぉ。好きにしたらええやん」

おかしい。

『じゃあお先に』

横「ん、おつかれ」

いつもは、ばいばいのキスはーとか言ってるのに。

『ありがとう』

大「ん。おつかれ」

外向きの忠義は黒い大きな車が良く似合う。

ただ、プライベートを覗いてみればまるっとした原チャリでいいかもしれない。

大「Aさ」

『うん』

大「…あー、帰ってからでええわ」

まただ。

また先延ばし。

『お風呂は？』

大「入ったー飯も食ったー」

『じゃあ私だけか』

化粧を落として軽くシャワー。

ご飯は冷凍したものを解凍して食べるだけ。

『で？さっきなんか言ってたけど』

大「このムードになってから言うんやな」

『ふふっ…ん……んん…』

いい加減にしなきゃ、と体を重ねる度に思う。

大「体熱い…」

『お酒呑んだから…』

大「まだ酔い回ってへんやん…」

『あっ……』

どんどん、体が熱くなる。

大「タバコ吸ってくる」

『忠義ー』

大「んー？」

『お水ー』

大「んー」

話ってなんだろう。

『忠義ー？』

大「なにー。はい水」

『話って？』

大「んー…」

忠義が座ったところがズンと沈む。

大「…Aはもう俺の事好きやないやろ？」

『…嫌いじゃないよ』

大「……別れる時もそんな感じやったな」

忠義の大きな手が、私の髪を撫でる。

大「彼女できた」

『…そう』

大「けど、それまでは別れてからもAのことが好きやった」

恋って苦しいね。

私だって同じ気持ちだったのに。

"お互い愛を感じられなくなった"

これが私たちの別れた理由。

大「あの時も泣いてくれたら良かったのに…強がり」

『…(泣)』

これが、私と忠義の"最後の日"。

私にとって初めてのちゃんとした恋だった。

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