267 「私の名前を知るのは、もう私だけのはずなんだけどな」 ページ21
さっさと歩いていくユキさんを追いかけて行くと、彼は師匠の部屋の前で足を止め、遠慮無しにその扉を開けた。
私も中に入って扉を閉めると、ユキさんは何故か本棚のところをじっと見る。
「どうしたんですか？」
「……隠してあるならここだなと」
ユキさんは凝をしている。私も凝をして本棚を見てみた。
特に何も無いと思うけど、と言いかけてユキさんを見上げると(ユキさんは師匠と同じくらいの背がある)、
「……チッ、隠し事上手いなあいつ」
「えっ、ち、ちょっと！？」
いきなり拳を振り上げたのが慌ててしがみついて止める。
「本棚破壊しようとしました！？」
「多分そうしないと出てこない」
「多分て！この本棚ひとつぶっ壊すだけで5億は飛びますよ！あと貴方の首が！」
ちなみに私が本棚ぶっ壊して本を何冊か傷つけた時は5時間ぐらい砂利に正座で頭をべっしべっしされながらお説教されました。
「……刺激だけにする」
不服そうに言ってユキさんはオーラを本棚に向けて放出した。
バチッ！！
「ぶあ！？」
電気が弾けるみたいな音がした。よし、と言いながらユキさんが本の背をいくつか撫でて、分厚い、薄赤い本で指を止めた。
「これだ」
「……そんな本あったっけ」
「念でカモフラージュしてた。ほら」
よーーーく見ると、表紙やら背表紙やらに念で神字が書かれている。薄いからよく見えないけど、師匠のオーラによるものであることは間違いない。
「随分古い本だ、何だろうこれ」
「クルタ語の辞書。クロロが子供の時に貰ったもの」
クルタ語の辞書？へぇ、そんなものまで師匠持ってたんだ。すごーい。
……。
「へ！？」
クルタ語の辞書を手に入れるなら、あの虐殺事件の時しか無いはずだ。師匠が子供の頃に貰った、というならそれは一体どういうこと？
「……子供の、頃……？」
ユキさんは本を持ったまま私を見つめる。
「クルタ語の辞書なんて流通するわけがない……流星街にいたはずの師匠がクルタ族に会うなんてことはありえない……」
ありえない？本当に？
「シビュラ」
「！」
「……で、あってる？」
「なんで……？」
もう私しか知らないはずの名前を何故あなたが知っている？
「クロロは昔のお前をーーシビュラを知ってる」
「まさか、だって、そんな」
「覚えてないんだな」
流星街の子供の師匠がこの本を手に入れられるとしたらーーそして私の名前を知っていたならーー入手経路はひとつだ。
「私の母親が、師匠にこれを渡した……」
そして、それはつまり。
「師匠は、全部知ってた……？」
268 「私と母」→←266 「ユキさんはおいくつで？」ユキ「クロロと同い年」「……なるほど、この人の周りも時空が歪んでいるらしい。(26に見えない)」ユキ「？」
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レン(プロフ) - このシリーズ3周するくらいとんでもなく面白かったです!!!!!更新停止なのは悲しいけどいつまでも待ってます！ほんとにこの作品大好きです!!!!! (1月28日 21時) (
レス) @page34 id: d242f3e9c7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - ついにキメラアント編っ！更新停止になっちゃってるけど、また更新再開してくれると嬉しいです！ (2021年8月26日 13時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - このシリーズめっちゃくちゃ好きです！更新待ってます！！ (2021年2月1日 8時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
Kan - 更新楽しみにしてます(^_^)ﾉ (2020年9月19日 23時) (レス) id: 807bcc086e (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草 - フレンチトースト頬張るふぇいたん可愛すぎる！！！ (2020年6月5日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤原 黎明 | 作成日時：2019年8月7日 21時
