月永家の日常3！

節分【3】 ページ38

泉side

｢ママ、さっきはごめんね｣

｢大丈夫だよ。どうしたの？急に居なくなってびっくりしたよ｣

王様と凛月ががリビングに戻ってきて、凛月が何も怪我してなくてホッとした。目が真っ赤だから、さっきは泣いたんだろうな…とか思いながら｢大丈夫大丈夫｣と、凛月の頭を撫でた。

｢別に、何でもない。りっちゃんは大丈夫だから。朝ごはん食べたいんだけど、ある？｣

絶対、何でもなくないのに｢何でもない｣｢りっちゃんは大丈夫だから｣と言い張る凛月。

｢あるよ。甘いパンとご飯どっちがいい？｣

少し前は、｢りっちゃん朝ごはんいらなーい！｣とか言っていたから、成長なんだけど、なんだか寂しい感じがした。

｢じゃあご飯にする｣

｢わかった。そこ座っててね｣

｢はぁい｣

何でだろう、凛月は普段以上にちゃんとしてるし、零や司も普段通りなのに、何だかモヤモヤする。


朝の支度も車に乗るときも、全部普段では考えられないスピードで進んだ。特に凛月はすごく早く支度を終えていた。

｢はい、保育園着いたよ｣

｢はぁい。今日ってさ、お迎えだれ？｣

｢ライブの前に少しだけ時間が出来たから、一旦お迎えに来て、その後なずな先生のお家ね。ごめんね、夜なのにお仕事で｣

｢大丈夫。しょうがないよ、お仕事なんだから｣

そう言った凛月は、普段からは考えられないくらい落ち着いた笑顔だった。俺はこの時に気づくべきだったんだと思う。零の少し機嫌が悪そうな表情だったこと、司が普段より大人しいこと、そして凛月の、落ち着いているのではない、寂しさを隠している笑顔だったことに。

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