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R side
アニメ作品の打ち上げで、居酒屋を貸し切って大勢の大人が集まっていた。
大人になってもこんなにどんちゃん騒ぎするのはやっぱり楽しい。
…が。
1つ問題がある。
スタッフさんと俺が話し込んでいる間に、Aがどこのどいつか分からねぇ男と話していることだ。
端のテーブル席で仲良さげに話している。
…は？なんであの男肩に手回してんだ？
じっと2人の方を見ていると、男の方からAに近づいている感じがする。
Aの方も満更でもなさそで……って、まさかアイツもう酔ってんのか。
「木村くん〜飲んでる？」
「あ、監督。お疲れ様です！楽しく飲ませてもらってますよ」
「そりゃよかった」
こうして色んな人が話しかけてくれるのは嬉しいけど、Aの方が気になって仕方がない。
ちらり、と向こうの様子を伺うと、互いに顔も赤くなっているようで。
Aは酒での赤み、男の方は多分、別の赤み。
男がAの手を掴みそうになった時、思わず体が動いた。
「お前……また飲みすぎてんのかよ…」
.
You side
「ぅんー…」
頭がふわふわする中で、男の人の話す声が聞こえる。
この声、知らない声。
「三倉さん…？大丈夫です…？」
「んっふふ、大丈夫〜」
目の前に見える顔は知らない顔だけど、とりあえず何かにもたれたくてその肩に頭を置いた。
あぁー実家のわんちゃんを思い出す…。
けど、匂いが違うなぁ。
実家の匂いはしないし、良平さんの匂いもしない。
お酒とタバコの匂いが鼻をつく。
私またこんなことしてたら良平さんに怒られちゃうかもなぁ…他のやつのとこ行くなって言われてるのに…。
うっすらと目を開けると、目の前には音声スタッフさんの顔。
「…？」
「三倉さん帰りましょう。俺が送りま…」
「お前……また飲みすぎてんのかよ…」
突然聞こえてきた声に本能で反応する。
「…！良平、さ…？」
「いやぁ、すみませんね"ウチ"のが」
良平さんが私の隣に座って、暖かいおしぼりを顔に押し付けてきた。
むぐっ、と離せなくなっている隙に良平さんは私の荷物を整理し始める。
「あ、木村さん…ですよね。お疲れ様です」
「あなた、は……あぁ、音声の。お疲れ様です。こいつは俺が連れて帰るんで」
「えっ、あ、はい…」
段々と眠くなってきた私は、最後の方の会話なんて聞こえていなかった。
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作者名：むぎ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月28日 23時
