不穏 ページ32
「はぁ…」
Twitterの画面を閉じ、ソファに蹲る。
匂わせ、釣り合わない、ビッチ
エゴサをしてたらどうしても見えてくる言葉。
アンチとか批判とか、昔からなかった訳では無い。
だけど最近、増えてきたような気がする。
内容はほとんど良平さん絡みのこと。
実際みんなが言ってることは当たってる。
私と良平さんは付き合っていることも事実、私が良平さんと釣り合っていないのも事実。
良平さんは私にとってずっと憧れで、大好きな先輩。
だから私なんかとお付き合いしているのが不思議なくらい。
「良平、さん…」
思わず口から愛する人の名前が零れる。
会いたい、会いたい、会いたい。
私、だいぶ弱ってるな…。
普段ならスルーできたり、切り替えたり出来るのに。
それこそ気分転換に料理したりゲームしたり。
なのにそれが出来ないのは、私の心が弱ってるから。
早く、良平さんに次会う日にならないかな。
そんなことを考えながら、意識を飛ばした。
.
R side
仕事終わり、何も伝えずAに会いに行ってやろうと彼女の住むマンションまで向かった。
数年前に預けられた合鍵を取り出し、マンションに入る。
気がつけば警備員の人とも顔見知りになっており、頭を下げるといつものように笑って見送ってくれた。
Aの住む724号室へと向かう。
そうだ、チャイムも押さずに入ってしまおう。
ガチャリ、とドアを捻って中へと入る。
すると中は真っ暗で、まるで誰もいないような雰囲気。
え、まさかまだ仕事中？
いや今日はもう仕事終わってるはず…。
「Aー？」
名前を呼びながらリビングへ行くと、ソファにうずくまっているAがそこにいた。
「A？どうした？」
電気をつけて隣に座ると、こてん…と肩に寄りかかってくる。
その顔を伺うと、すやすやと眠っていた。
「ふっ…寝てんのかよ」
頭を優しく撫でると、擦り寄ってくる。
狸寝入りなのか、無意識にやっているのか。
いや、狸寝入りなんて器用なことコイツに出来ないのは昔から知っている。
目の下にうっすらと見えるクマを見ると、恐らく疲れていたんだろう。
「お疲れ、ゆっくり休めよ」
疲れた時は休んで、元気になったら問い詰めねぇとな。
ここまでやつれてる理由を。
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作者名：むぎ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月28日 23時
