24 さてさて?やろうか……って!? ページ26
*
「バルド!バケモンが……あれは……ッ」
途端に慌て出す車内。バルドも冷や汗をかき始めた。
「助けてくれ!!こっちにバケモンが……!」
後部車両から何人か仲間が飛び込んでくる。何人か軽く血を流している。その背後から、唸りを上げる文字通りの化け物。
「合成獣……っ!?」
何故こんな列車に、とバルドは目を剥く。
「ーーアウラ」
「!?」
幼い声に、合成獣が首を垂れた。姿勢を低く構えたバルドの横に立つ1人の少年。
「な……ッ」
「うまくやってくれたようだな。ありがとう」
合成獣に頰を擦り付け、年相応の笑顔を浮かべる黒髪の少年。
「こんな……小僧にィィィィ!!」
ジャキ
「もう死にかけるのは痛いから嫌だな」
少年は笑い、バルドの機械鎧の銃口を握り潰した。それを見て部下たちも恐れて動けなくなる。
「お前たちが何を考え、何がしたいのか。俺はそれにとっても興味がある」
と、言った時。
「動くな!!」
ガタン、と大きな揺れと共に汽車が止まり、軍人らしき人間たちが飛び込んできた。
「おいリヒト!!お前勝手に色々……!!」
さらにエドワードがブチ切れながら飛び込んできて、終ぞ敵に動機を聞けなかったリヒトはしばらく拗ねることになる。
「や、鋼の」
ニコッと笑ってエドワードに声をかけた大佐。エドワードは思い切り顔をしかめた。
「なんだねその嫌そうな顔は」
「くあ〜〜〜〜大佐の管轄かよ……」
言いながらエドワードはしゃがんで地面の石ころをいじくるリヒトを見下ろす。
「おいリヒト」
「……」むす
ほっぺたを膨らませ、下からエドワードをじとっと見た。
「何だ?俺は今とってもいじけてるんだ」
「知ってるっつの。とりあえず立て」
首根っこ掴まれて立たされ、リヒトはむうっと口を曲げて目の前に立つ大佐を見つめる。
「君が奴らを?」
「アウラと一緒に」
「アウラ?」
「俺の友達」
「そうか。とにかく礼を言う」
ふぅ、と大佐がため息をついた。
「うわぁ!!」
「貴様……ぐあっ!!」
ホームに響く悲鳴。バルドが仕込みナイフで軍人を襲ったのだ。
「……あいつ」
「大佐、お下がりくだ……」
「これでいい」
すっと前に出る大佐を、リヒトは黙って見ていたが。
パキン
ゴオッ
「が、ああああ!!」
大佐が指を鳴らした途端に噴き出す炎。
「手加減しておいた。まだ逆らうというならケシ炭にするが?」
「てめえ、何者だ!」
「ロイ・マスタング。地位は大佐だ。そしてもうひとつ」
リヒトが目をパァっと輝かせた。
「『焔の錬金術師』だ。覚えておきたまえ」
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藤原 黎明 - アルシエルさん» ふおおおぅ……優しい言葉をありがとうございます!無理しない程度に頑張りますね。こちらの作品は更新ゆっくりなので、ゆっくりたまに見に来てくだされば嬉しいです!よろしくお願い致します! (2019年4月3日 18時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
アルシエル - ご復活おめでとうございます。お話の続き楽しみにしています。たまには更新も置いといてのんびりしてくださいね。傷ついた心を癒すのにはそういう時間も必要でしょうから。 (2019年4月1日 13時) (レス) id: e40e430b96 (このIDを非表示/違反報告)
リン - 分かりました!更新頑張ってください! (2018年12月31日 16時) (レス) id: 9f5cd220aa (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - リンさん» いえ、天空闘技場に入る前に話がスタートしていますので、覚えていません。存在も知らない状態ですね。こちらのお話では念能力は無いものとして扱っていこうと考えています。わかりにくくて申し訳ないです(>_<) (2018年12月30日 17時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こちらの君臨者様は念を覚えているのですか? (2018年12月30日 14時) (レス) id: 9f5cd220aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2018年9月26日 22時