１９ わるいこと？意外と楽しい ページ21
*
どどーん、と。
「……あの……」
目の前にこれでもかと積まれた金塊、金銀財宝に、呆然とヨキたちが目を泳がせる。
「炭鉱の経営権をまるごと売ってくれって言ってるんだけど」
「要望とあらば、まだ宝石は出せる」
ポケットからルビーやサファイアを取り出して見せると、とんでもないとヨキが汗を散らして叫んだ。
「これだけあればこんな田舎におさらばして……」
目を輝かせているのは、おそらく夢に想いを馳せているのか。
「ああ、中尉のことは上の方の知人にきちんと話を通しておいてあげましょう」
エドワードがにっこり笑い、ヨキは感涙してエドワードの手を握る。俺は避けた。
「だが、金の錬成は違法だそうだ。……だから、経営権は無償で穏便に譲渡した、と念書を書いてもらえねば」
「構いませんとも！では早速……」
悪同士のほほほ、ふふふ、はアルフォンスとジト目で見ておいた。
「はーい、皆さんシケた顔ならべてごきげんうるわしゅう♡」
「ごきげんよう」
カヤルたちがうんざりした顔でエドワードを見た。ごめん。なんかごめん。
「……何しに来たんだよ」
「あらら、ここの経営者に向かってその言い草は無いんじゃないの？」
エドワードがしたり顔で権利書を突き出した。訝し気に書を覗き込んだ人間たちが、目を見開いて叫んだ。
「あー！？名義がエドワード・エルリックって！！」
「はぁ！？」
「そう！すなわち今現在！この炭鉱はオレの物ってことだ！」
実は俺が欲しいと言ったが、この世界に俺の戸籍？というやつや、何やらがないらしいので断念。……身分証というやつがそろそろ欲しい。
「とはいえ、エドワードたちは旅をしている根無し草」
「こんなものなんて邪魔になるだけで……」
「……オレたちに売りつけようってのか？いくらで？」
親父さんがじっとエドワードを睨む。対してエドワードはニヤッと笑った。
「高いよ？高級羊皮紙に金の箔押し、さらに保管箱は翡翠を細かく砕いたものでさりげなくかつ豪華にデザインされてる、うーんこいつは職人技だね、おっと鍵は純銀製ときたもんだ」
さて……そろそろ来るかな。
「ま、素人目の見積もりだけどこれ全部引っくるめてーー」
ぴ、と指を立てる。
「親方んトコで一泊二食三人分の料金ーーてのが妥当かな？」
……うむ。
「はは……はははは、たしかに高ぇな！！」
バシンと親方が額を打つ。
「よっしゃ買った！！」
「売った！！」
*
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藤原 黎明 - アルシエルさん» ふおおおぅ……優しい言葉をありがとうございます！無理しない程度に頑張りますね。こちらの作品は更新ゆっくりなので、ゆっくりたまに見に来てくだされば嬉しいです！よろしくお願い致します！ (2019年4月3日 18時) (
レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
アルシエル - ご復活おめでとうございます。お話の続き楽しみにしています。たまには更新も置いといてのんびりしてくださいね。傷ついた心を癒すのにはそういう時間も必要でしょうから。 (2019年4月1日 13時) (レス) id: e40e430b96 (このIDを非表示/違反報告)
リン - 分かりました！更新頑張ってください！ (2018年12月31日 16時) (レス) id: 9f5cd220aa (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - リンさん» いえ、天空闘技場に入る前に話がスタートしていますので、覚えていません。存在も知らない状態ですね。こちらのお話では念能力は無いものとして扱っていこうと考えています。わかりにくくて申し訳ないです(>_<) (2018年12月30日 17時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こちらの君臨者様は念を覚えているのですか？ (2018年12月30日 14時) (レス) id: 9f5cd220aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤原 黎明 | 作成日時：2018年9月26日 22時
