１７ 店？……焼かれて ページ19
*
「カヤル！」
「リヒト！店が……」
アウラと一緒に走っていくと、カヤルや炭鉱の男たちがバケツを持って走り回っていた。バケツから水をあける先には、燃え盛る店。
「火を消せばいいのか？」
「ッ……じゃなきゃ別のモンにも燃え移るだろ！」
「わかった。ーー全員下がれ」
「はあ！？下がるって……」
「下がれ、と言ってる」
男たちの目を見て言うと、全員が気圧されたように下がった。
……さて。
「ーー×××」
炎、と俺の言葉で呟く。
水をかけたら木がダメになる。だからといって風で飛ばせば燃え移るかもしれないから危ない。
「××××……」
それなら、炎を操ってしまえばいいだけだ。
「×××××」
俺の元へ、と呟く。
途端、巻き上がった炎が、俺の差し出した右腕に巻きつくように飛んできた。
「リヒト！？」
カヤルが目を見開いて叫んだが、ひとまず炎に集中する。
「熱っ」
ぐるぐると体を回る炎を、左手に誘導。そして水を作り出して相殺していく。
「……よし」
熱さでひりひりする左腕を振りながら顔をしかめていると、カヤルたちと目が合った。俺は軽く微笑む。
「これで、いいか？」
「あ、エドワード」
アウラとじゃれていると、ヨキのところにいたエドワードが帰ってきた。親父さんの店を見て、眉をひそめる。
「なぁ、これ」
「ヨキの部下がやったらしい。俺が火を消したが、中の方はかなり燃えてしまったらしい」
もう少し早ければ、と思う。……直そうと思えば直せるけれど、エドワードが承知しなそうだ。
「……リヒト！」
「む？」
俺に向かってカヤルが走ってきた。ゆうべ走り回ったせいか、少し顔色が悪い。
「ありがとな、火事……止めてくれて」
「ああ」
「……でも、あんた何者なんだ？あれ、錬金術じゃないだろ？」
「俺特有の能力ーーと、とりあえずは言っておこうか。それから、俺はリヒト。それだけだ」
クールだねぇ、とエドワードが隣で呟いた。クールとは？
ちょっと気になるが、カヤルがまた話し出したので考えるのをやめる。
「そっか……。あのさ、リヒト！助けてもらって、この上お願いなんてできる立場じゃねぇのわかってんだけど、お前の能力で、親父を……街を救ってくれよ！」
「救う？」
「うん！」
はて。現状、彼らが欲しいものというとまずは金か？
だが、金を出してもーーうん、
「断る」
*
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藤原 黎明 - アルシエルさん» ふおおおぅ……優しい言葉をありがとうございます！無理しない程度に頑張りますね。こちらの作品は更新ゆっくりなので、ゆっくりたまに見に来てくだされば嬉しいです！よろしくお願い致します！ (2019年4月3日 18時) (
レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
アルシエル - ご復活おめでとうございます。お話の続き楽しみにしています。たまには更新も置いといてのんびりしてくださいね。傷ついた心を癒すのにはそういう時間も必要でしょうから。 (2019年4月1日 13時) (レス) id: e40e430b96 (このIDを非表示/違反報告)
リン - 分かりました！更新頑張ってください！ (2018年12月31日 16時) (レス) id: 9f5cd220aa (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - リンさん» いえ、天空闘技場に入る前に話がスタートしていますので、覚えていません。存在も知らない状態ですね。こちらのお話では念能力は無いものとして扱っていこうと考えています。わかりにくくて申し訳ないです(>_<) (2018年12月30日 17時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こちらの君臨者様は念を覚えているのですか？ (2018年12月30日 14時) (レス) id: 9f5cd220aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤原 黎明 | 作成日時：2018年9月26日 22時
