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10話 ページ11

どうしよう……。
どうしよう、どうしよう、どうしよう……。

わからない。
わからないまま、私は家に着いた。


「ただいま……」

「「おかえりー!」」

「おかえなさい、Aさん」

「お義母さん、ただいま……。……ありがとうございます」


空と海を抱き締め、お義母さんを見上げた。
若草色の着物を着ているお義母さんは、あたたかい人だ。


「いえいえ。孫といて、わたしは幸せですから」

「すいません……」

「謝らないで。わたし、晶人さんに叱られます」

「晶人さんは叱らないですよ」


姑との仲は、実母より良い。
いや、私から両親との縁を切ったようなものだけど。


「Aさん、晶人さんに挨拶してきなさい。夕飯の支度はわたしがやりますから」

「ありがとうございます」



神原晶人。
高校卒業の日に、家出した私を拾ってくれた人。
私を、愛してくれた人。千斗と同じ髪色の人。


空と海の、父親。

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作者名:通りすがり | 作成日時:2019年7月8日 9時

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