【承太郎】花に埋もれて亡くなりたい (ページ3)

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とりあえず1日経って分かった。
Aが１ヶ月俺と付き合うというのは、本気だったらしい。
中身のない話をしながら帰るだけだった帰り。それがいつもは素通りしてたゲーセンに行きたいだとかカフェに寄りたいだとか言い出した。
まるでデートだな。と言えば「当たり前でしょ。私カップルだもん。」と何故か胸を張る。

「ねぇ、恋人繋ぎしよ。」

クレープを包んでいた紙をゴミ箱に投げると、空いた手を出す。
よく喋る方ではあるが、ボディタッチとかはあんまりしてこないヤツだったんでこれには少し驚いた。

「お前…俺が思ってたより積極的なんだな。」

「承太郎はこういうのに興味無さすぎだよ。」

ふふ。と何がおかしかったのか笑いながら俺の手を取る。
少し力の込められた手で握られたので、こっちも少しだけ握る。

「手、おっきいね。それにごつごつしてる。」

繋いだ手を自分の目の前に持ってくると、まじまじと俺の手を見る。
いつもポケットに突っ込んでるからこうして見るのは新鮮だと言う。そもそも人の手を見る機会なんてそう無いに決まってる。おかしな奴だ。
手を繋いだことで、Aといつもより歩く速度を合わせるためにゆっくりになる。

「ねぇ、ここ寄ってこうよ。」

またなにか欲しくなったのかと指さした方に目を向ければ、そこは公園だった。
んなガキが遊ぶ場所で…と渋ってはみたが手を引かれそのまま公園に入る。
ブランコに滑り台、スプリング遊具と今の俺では乗れないものばかりだ。

「……遊ぶならお前一人で遊べ。」

「承太郎おっきいもんね。よし、私が君の分まで遊んであげるよ。」

頼んじゃいねぇが…と行った頃にはもう走り出していた。
近くのベンチに座り、タバコでも吸いながら待っていようかと思ったが、

「じょーたろー、回して！」

そう声をかけられた。
Aが乗っていたのは回転ジャングルジム。

「ちっ…めんどくせぇの選びやがって。」

出しかけたタバコを内ポケットに戻し、遊具に手をかける。

「しっかり掴まって、ろ……よ」

そう声をかけながら上を見上げる。
狙って真下に来たわけではない。たまたまだ。
だが…これは……非常にマズい。

「……おい、降りろ。」

「えっ？まだ回してないのに。」

「いいから。もう帰るぜ。」

無理やり降ろすと、今度は俺が手を引いて公園から出る。
Aは家に着いてもなんで降ろされたのか気付いておらず、ワガママで俺が怒ったのかと心配していたが、もうそれでいい。
…やれやれだぜ。