煉炎華 (ページ5) - 小説/夢小説

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竈門炭治郎は煉獄Aをこう捉えた。
『静かに燃えている人』。
静かに。しかし苛烈に。
絶やすことなく、燃えている炎。

鼻が良い少年のその評価通り、煉獄Aはそのような女である。
まだ十にも満たない頃から、じゃじゃ馬ではないが男勝りなところがあった。

実父曰く『黙っている雰囲気は母似』。
実弟二人曰く『怒ったら父より怖い気がする』。
とある柱曰く『派手にいい女』。

そう。派手に、いい女。らしい。

「うちの嫁になりゃあいいのに」

とある日の夜。
鬼を蹴散らしたAを見て、音柱宇髄天元は呟いた。

消え逝く鬼の亡骸の近くには、鬼殺隊士の亡骸。
子供を庇うようにして、背中をざっくり真っ二つにされていた。
子供は隊士の亡骸にしがみつき、わんわん泣いていた。

「嫁ぐ気はない。……少年、無事か？」

「ひっく……うん……」

しゃがみ、子供を気遣いながら真っ二つになった隊士の亡骸を動かす。

「……遅くなってすまなかった……」

亡骸に、一言。
たまたま近くにいた宇髄とAは、鎹鴉から救援を聞いたためやってきた。

到着はAが速かった。
さすがに元忍といえど、距離の問題はあるものなのだ。

「藤の香だ。夜に必ず焚きなさい。あの化け物たちは、藤の花が嫌いなんだ」

懐から出された香を子供は受け取ると、コテンと眠った。
緊張の糸が切れたらしい。

「甲斐甲斐しいねぇ」

「彼等を守護ることが、我々の使命だ」

「……やっぱ、いい女だよ。お前」

「そうか。そろそろその口説き文句も飽きてきたのだが」

「仕方ねぇだろ。言葉が出ねぇんだ。……そのくらい、お前はこの俺様を惚れさせたんだ。責任取れよ」

「勝手に惚れたのはお前だろうが」

ぞろぞろと隠がやってきて、後片付けをし始めた。

Aは立ち去る前に、ふと、思い出したように口を開いた。

「そういえば、宇髄。お前の嫁達からの連絡はどうなっている？」

「ああ。……なんか、雲行きが地味に悪い」

「……潜入する予定が？」

「ないわけじゃない。……なんだ？地味に心配してくれてんのか？」

「……お前と伊黒、甘露寺とはなんだかんだ飯食いに行ったりする仲だしな……」

つまり、それなりに心配はしている。ということだ。

「そうかい、ありがとさん」

宇髄は笑った。