其之肆 ページ5
――イゾウside――
「イゾウ隊長」
マルコと別れて部屋に向かってたら隊員の一人が声をかけてきた。
まだ入って一ヶ月くらいの奴だ。名前はグリス。
人懐っこくて気が利く。
「如何した?」
「侵入者がいたと聞いたので、ご無事でしたか?」
「ああ、大丈夫だ。変に大人しい奴だったから直ぐ牢屋にぶち込んだ」
「そうでしたか。それとタオルです。風邪引いちゃいますから」
「ありがとな。今日は俺たちが不寝番だったな。先に甲板に行っててくれ」
「はい!」
元気良く返事をして走って行くグリス。
まるで犬みてぇだな。
俺は自室に戻ってタオルで水気を拭い着替えてから甲板に行った。
「……?」
さっきまでの大雨は止んで、嘘のように晴れて星空が良く見える。
おかしい…俺の隊の隊員が見当たらねぇ。
グリスもさっき向かったはずだ。
「イゾウ」
エースとハルタが歩み寄ってきた。
「何かあったのか?」
「それが俺たちにも分からねぇんだ。さっきハルタと甲板に来たら誰もいなくて、廊下でグリスが走って行くのは見たんだが…」
どうなってやがる。
あの女といい、この状況といい。
「サボるなんて考えられねぇけど一応船内を探してもらってる」
「悪ぃなハルタ」
「あっちも見てくる」
エースが階段を登って舵柄へ向かった。
一人にしない方がいいとハルタと俺も向かう。
何だ…血生臭い。
「エース!何かあるか!」
先に行ったエースが応えねえ。
どうしちまったんだ。
上に何かあるのか。
ハルタと駆け足になり、登り切ると其処には信じられない光景が広がっていた。
血の海だ。しかも一人や二人じゃねぇ、十人以上だ。
中心にいるのは誰だ…
固まっていたエースが手を震わせながら口を開いた。
「お前…何してんだよ、なあ…グリス!!」
「!」
グリス…?グリスが、やったのか…?
他の隊員を…殺したのか…?
「やっぱ見つかっちゃいました?」
振り向いたグリスは笑顔で、口の周りや手や服は血塗れだった。
何してんだアイツは…
「いやあ、すみません。我慢できなくなっちゃって。いやあ、やっぱ良いですねぇ。デカイ海賊船って。食べ放題です」
後ろに持っていた誰かの腕をまるで鶏を食べるように食らっている。
「じゃあ折角なんで…隊長たちも頂いて良いですか?」
グリスの笑顔が酷く残酷に見えた。
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シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています (2022年11月9日 10時) (レス) @page31 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
ミチルンルン(プロフ) - 結構好きかも、更新楽しみに待ってます! (2022年6月10日 21時) (レス) @page31 id: 107ef6d634 (このIDを非表示/違反報告)
狐 - 凄く面白いと思いました。これからも頑張ってください!応援してます! (2020年10月25日 1時) (レス) id: 0f94a784a5 (このIDを非表示/違反報告)
寿 ライラ(プロフ) - 凄い面白いです!!続き楽しみです!!更新頑張って下さい!!待ってます!! (2020年10月24日 0時) (レス) id: 3d43c01a40 (このIDを非表示/違反報告)
春葵(プロフ) - シンアさん» ありがとうございます。更新頑張ります。 (2020年9月21日 18時) (レス) id: b1ab373c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春葵 | 作成日時:2020年9月7日 19時